しばしばゲテモノ、あるいは宮本武蔵の如き超天才でなければ扱えぬものとして語られがちな二刀流をテーマとした一編。時代小説らしいペダンティックなうんちくの数々と、あっさりとしつつも緊張感に溢れた試合の描写。剣豪小説ファンならきっと気に入るであろう一作です。
大石以前を古流と呼び大石以後を新流と呼ぶ歴史のターニングポイントである。その時。師は、新時代を取り入れ新しい剣の世界を切り開いた。弟子は、古い道を極めて、道に達し、新たな道を歩む。幾度もの出会いと別れ。読み終えてみれば、まるで始めから皆その様な運命だったかの様に、歴史の奔流に挑む剣士たちの心意気が活写されている作品である。