第82話 ブラコン
「お、おい千紘……どうした? 頭が痛いのか? 泊まりで疲れてるなら早めに寝たほうがいい」
多分だが千紘は疲れているか、晩年彼女無しの俺に急にこんな可愛い彼女が出来たから戸惑っているのかもしれない。もしかしたら騙されているとか思っているのかも。
「私は平気だもん! お兄ちゃんは私だけいれば良いの! 私だけいてくれれば良いってお兄ちゃん言ってたじゃない!」
「そんなこと言ってたの? 颯汰くん?」
じろりと美吹が俺の方を見てくる。その眼光はすごく鋭く、小さな虫なら殺せそうだ。俺はなんでこんな浮気をした男のような追及を受けなければいけないのだろう。
それに俺、千紘にそんなこと言った覚えないし。どんな脳内変換をしたんだよ。
「言ってない言ってない。千紘が今初めて言ったんだよ」
「ほんとうに?」
「うん。信じて欲しい」
ってなんで俺が美吹を諭しているんだろう。本当に他の人からだと修羅場に見えていそうだ。
「ちょっと〜私のお兄ちゃんとイチャイチャしないで!」
「ねぇ、千紘ちゃんってそんなにブラコンなの?」
「こんなにひどくはなかったんだけど」
たしかに少しブラコンかなと思うところもあったが、ただ仲の良い兄妹だった。こんな独占欲丸出しの妹ではなかったはず。
「まぁ落ち着いてみんな。千紘も久しぶりにお兄ちゃんに会えて嬉しがってるだけだから。ほらほら2人は2階に行っちゃいなさい。千紘は抑えておくわ」
暴れる千紘を母さんが全力で抑えてる間に俺たちは2階へといくのだった。
「千紘ちゃん、可愛いけど少しブラコンだね」
美吹が小さな声で言ってきた。少しと言うのは遠慮が入っているのだろう。俺もこんなになってるなんて全く思わなかった。
「一人暮らしする前はこんな感じじゃなかったんだけどね。仲は良かったけどさ」
いったいなぜこんな超ブラコンになってしまったのか。
「まぁとにかく千紘ちゃんに私たちのラブラブをアピールして認めてもらえば良いってことだよね」
「違うと思うぞ」
そんなことしたら千紘はさらに何か言ってきそうだ。しかし、俺たちのことを認めてもらいたいのも事実。
「後で千紘と話してみるよ。さっきの抜きでも久しぶりに会ったから話したいことはたくさんあるしね」
「じゃあそれまでイチャイチャしよっ。千紘に負けないようにねっ」
こうして今から1時間、しっかりイチャイチャするのだった。
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