第81話 妹

 言われたくらいの時間に莉子の家に行くと玄関には莉子の美吹の姿があった。


「やっほー颯汰。美吹ちゃん借りて悪かったね」


「本当だぞ。せっかく美吹と一緒にいたのに」


「まぁそう言わないでさ。美吹ちゃんったらすっごい惚気るんだもん。私も負けじと颯汰の恥ずかしい過去暴露しちゃったけど」


「おいっ!」


 あぁ今日莉子と出会ったのは最悪だ。これ以上変なことを言われる前に帰るとしよう。


「えへへ。小さい頃の颯汰くんの写真とか見せてもらっちゃった。すっごく可愛かったよ」


 美吹はご満悦のようだ。小さい頃の写真とか恥ずかしすぎるんだけど、美吹が喜んでいるなら少しくらいは良いかな。俺も美吹の幼稚園の写真とかみてみたいし。可愛いだろうなぁ。


「それじゃあ帰ろうか。ほらパピコ買ってきたからさ。莉子、またな。次は彼氏に合わせろよ。莉子の恥ずかしい写真とか見せるから」


 そんなやりとりをして俺たちは莉子の家を後にした。いろいろ予定が狂ったが、夜に星を見に行くことはちゃんと出来そうなので問題はない。


 思っていたより早く帰宅。なにやらリビングから賑やかな声が聞こえる。


「あ、お兄ちゃん久しぶり! ごめんね。昨日友達の家にお泊まりで。お昼から友達が部活らしくて早く帰れてよかったよ」


「久しぶりだな千紘。元気にしてたか?」


「本当だよ! もっと早く帰ってくるよって言ってくれたらお泊まり行かなかったのに!」


 俺の方に飛びついてきてスリスリとしてくる。ここまでで分かった人もいるかもいるかも知れないがブラコン気味だ。


 ただお兄ちゃんと結婚する! みたいな兄妹ラブコメのようなことにはなっていない。ただ純粋に好かれている。


「まぁ久しぶりに帰ってきてくれたから許してあげる。だからさ、ゲームしよゲーム! 最近Switch買ったんだよ」


 たしかにSwitchと一緒に嬉しそうに微笑む千紘の写真が送られてきたな。母さんたちが誕生日って事で買ったんだっけ。


「あのー。こんにちは千紘ちゃん」


「はうっ!? あ、あなたは誰ですか! お兄ちゃんの後ろで! 危ないものとか美味しいもの持ってたら通報ですよ!」


 千紘、なんか変なこと言ってるぞ。たしかに千紘に彼女が出来たことは言ってなかったけど、なんて意味の分からないこと言ってるんだ。


「えーと私、颯汰くんの彼女の春野美吹です。千紘ちゃんよろしくね」


 スッと俺の横に立って自己紹介。千紘も美吹のことを歓迎してくれるだろう。俺と美吹が将来け、結婚することになったら義理の姉妹になるし、仲良くなってくれるのは嬉しい。


「いーえ! お兄ちゃんに彼女なんていりません!」


 思いっきり腕をバッテンに交差し千紘は言い放った。

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