第62話 パスタ実食
コース料理の前菜、メインの来る前の言わば引き立て役。メインヒロインとサブヒロインのような関係。
要らないと言う人もいるかも知れない。なら、単品頼めと言う話になるが。
なんかごちゃごちゃ言って結局何が言いたいのかと言うと、ここの前菜まじで美味しいって言うこと。想像の数倍以上美味しい。
もはやこれだけをお腹いっぱい食べても大満足できるだろう。そんなレベルなのだ。
「そう言えば、美吹って料理とかの写真撮らないタイプ?」
インスタとか見てるとよく料理の写真上げてる人とかいるけれど、美吹は違うのかな。
「私、そんなにSNSやってないんだ。それにあまんまり写真とか撮らないしね。でも……今後颯汰くんとの思い出はたくさん写真撮りたいな」
「俺も自撮りとかしたことないけど……美吹となら俺も撮りたい」
「じゃあ食事終わったらどこかで撮ろうよ。それとも初めては……お部屋?」
「美吹、その言い方はちょっと危険かも……」
こっそりそんなことを言うとボフッと顔を赤くする。美吹、初心か。まるでさっきのパプリカくらい顔赤いぞ。
「颯太くんエッチ……」
身を庇うようにそんなことを言われたら俺が悪いみたいになってしまうではないか。
「冗談だよ。私の言い方が悪かったね。あっ、パスタ来たみたいだよ」
ウェイトレスさんが持ってきてくれたのはパスタの入ったお皿と、大きなパイで包まれた謎のお皿。
美吹の方にはサーモンとほうれん草のクリームパスタ。俺の方には謎のパイで包まれたものが置かれた。
「鳥とキノコのピッツァ窯パスタでございます」
一瞬、俺が頼んだものじゃないのでは? と思ったがそんなことはないようだ。間違いなく俺が頼んだものだ。
ごゆっくりどうぞと言って下がっていったウェイトレスさん。いや、これどうすれば良いの? 美吹もびっくりしてるし。
「メニュー見て、初めて食べるものに挑戦するって颯汰くん言ってたけど、こういうの知ってたの?」
「いや、こんな感じになってるのは思わなかった。ピザ窯でちょっと焼いたとかなのかなとばかり。こうやってパイ生地を崩せば良いのかな」
スプーンに少し力を入れてパイ生地を崩してみると中からはコンソメとクリームの良い匂いが鼻腔を蕩かす。
これ、絶対美味しいやつだ。クリームスープパスタっていうやつになるのかな。初めて食べるけど美味しいってもう分かりきってる。
それからは無我夢中でパスタを食べるのだった。
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