第51話 2人の世界
「あぁ美味しかったな」
「お腹いっぱいだよ」
あれからは何事もなくどのテストが良かったとか難しかったとかそんな話をしたり夏休みどうするかとかを話したりして時間は過ぎていった。
これから成績が悪くて再試験などがなければ大学に行くことはない。大学の長い夏休みが無事に始まると良いのだが。
「これからどうするよ。まだ9時だし、カラオケとか行っちゃう?」
「あ、良いねぇそれ。和真くん歌上手いもんね」
あ、この人たち二人でカラオケ行ったんだ。こんなのもう付き合ってると言ってなにか間違っているだろうか。
仲の良いオタク友達? いやいや。それだけでここまでの関係になれるわけない。
「いいなぁカラオケ。私、全然行ったことないんだよね」
「春野さんカラオケ行ったことないんだ」
和真と佐野さんとの関係について考えていたところで、横にいる春野さんが少し寂しそうな声を出した。
男子にも女子にも好かれる春野さんだから、カラオケとか誘われているかと思った。春野さんが男子と行く感じはしないけど、女子となら行ってるものかと。
「高校の時は家の事情がいろいろあってね」
と、先ほどまでの楽しそうな表情から一変、心なしか無理に笑顔を作っているような感じへ。
「歌うことは嫌いじゃないんだよね?」
「うん。最近の曲とかもよく聴いてるし、音楽自体は好きだよ」
「そっか。なら今度一緒に行こうか。今日から夏休みだからいつでも行けるしね。バイト終わりとかも良さそう」
「う、うんっ。川上くんありがとう。上手く歌えるか分からないけど、楽しみにしてるね」
一瞬でにっこり笑顔に早変わりの春野さん。カラオケかぁ。俺も頻繁に行くわけじゃないしちょっと練習しておかないと。春野さんに音痴な歌声は聴かせられないし。
1人でこっそり行くのもありだな。1人カラオケとかレベル高すぎるけど、考えておこう。
ここで正面を見てみると生温かい視線を送ってくる和真と目が合った。すごく何か言いたそう。
「2人ともラブラブじゃん。なんかラブコメラノベの実写化を見てるみたいだ。いや、俺は実写化は許さんぞぉ!」
「私も許さない!」
「佐野ちゃん分かってくれるか!」
なんか別のスイッチが入ったみたいでガッチリと握手をして実写化について語っている。オタクはこうなると手強いんだよなぁ。
2人の世界に入ってしまったため、俺は春野さんの方を向く。
「まだ何か食べる?」
忘れているかもしれないが、今俺たちがいる場所は焼き肉屋。もうかなりお腹いっぱいになってもうシメの頃合いだ。
「デザート食べたいな。バニラアイス」
「なら俺は……レモンシャーベットにしようかな」
あと2人も何か頼むのかなと思ったらのだが、未だに熱く語り合っている2人を見て俺たちの分だけ頼むことにした。
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お久しぶりです。九条けいです。更新をストップしてしまい申し訳ございません。大学のテストを頑張っていました。まだあるのですが少し間が開くので書くことができました。
テストが終わり次第バンバン投稿していけるように頑張ります! これからもよろしくお願いします!
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