第29話 連絡先が……
「うーん。もう朝か……」
いつのまにか寝ていつのまにか朝になっていた。
時計を見てみるとまだ6時を少し過ぎたところ。珍しくこんな早く起きたな。
それで昨日なにな大変なことがあったような……思い出した瞬間体温が一気に爆上がりする。
俺、春野さんとお付き合い始めたんだ。と、いうことはこれからは大学とかでも一緒だったりバイトでも一緒だったり?
そんな夢のような大学生活を想像するが、それは厳しいだろう。何せ春野さんは人気者。俺以外にも沢山の人と交流がある。
束縛しすぎるのはダメだと河本さんも言っていたし、その通りだ。俺は春野さんと友達付き合いを極端に減らして欲しくはない。
もちろん一緒にいてくれると嬉しいけど。でも他の男と喋ってるのみてるとやっぱり嫉妬するんだろうなぁ。河本さんの彼氏さんの気持ちも分かるかも知れない。
まだ起こってもいないことを妄想していたらあることに気付く。
「俺、春野さんの連絡先知らない……だと……?」
和真からのメッセージはガン無視して真っ先に春野さんの連絡先の有無を確認する。やはり春野さんの連絡先は無かった。
「これは由々しき事態だ」
一刻も早く春野さんと連絡先を交換しよう。今日の目標はこれだ。俺は決意を胸に支度を始めた。
◆◆◆
「ふぁー。よく寝たー」
清々しい朝。今日ほど気持ちよく起きたことはないってくらい。
それもそうだ。だって……えへへっ。昨日から私は川上くんと付き合い始めたんだから。
いろいろびっくりすることあったけど、私は川上くんと付き合ってます! 声を大にして言いたい。
というか私、デレデレしすぎじゃない? 昨日とか帰り道に好きって言ってとかおねだりした気が……
「恥ずかしいっ!」
恥ずかしさのあまりガバッと布団を頭に被る。冷静になると私なんてことしちゃってるの!? わつーわっー! 変な女の子だと思われてないかな!?
落ち着いて。落ち着いて。とりあえず川上くんに、昨日のはテンションがあがっちゃっただけって言っておこう。
どうせまたデレデレしちゃうんだろうけどね。そんなことを考えながらスマホを開いて……て?
「川上くんの連絡先がない? あれ? 私連絡先の交換してなかったっけ?」
探しても探しても川上くんの連絡先はない。私たち付き合ってるのに連絡先の交換もしてない?
何かの拍子に交換したと思っていたのに。そういえば一度もメッセージのやり取りをしたことがなかったかも。
「これは早く交換しないと。大学で出会ったらすぐに言おっと」
そう考えると大学に行くのもわくわくする。同じアパート住んでるんだから一緒に行くっていうのもありじゃない?
それなら川上くんに一緒に行こうと連絡を……って連絡先知らないんだった! ほんと不便! 早く交換しないと!
交換したらたくさんやりとりするんだぁ。バイトがな日とか通話しながらお勉強とかも良さそう。
「はやく会いたいな」
昨日おやすみって言ってまだ半日も経っていないけど。でも会いたいものは会いたい。これからたくさん思い出作って、一緒に国家試験を合格して、働き出して貯金もできたら……ってダメダメ。今日の私、いろんなこと妄想し過ぎ!
頭を切り替えるために私は洗面台へと向かった。
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