第19話 シャーロに(side美吹)
「ふぅ。ちょっと落ち着いた……」
鏡を見て私の表情が変じゃないか確認する。それにしてもさっきのは失態だったな。
でも悪いのは100%川上くんだ。自分を卑下するようなことを言うから、私があんなに言っちゃったのだ。
でもさっき言ったことは私の本音。川上くんはいい人だし、カッコいいと思う。大学に入って活発な人、俗に言うチャラい人とかも何人か見てきた。
確かにそういうかっこよさ。見た目、格好もあるんだろうけど、私は全然惹かれなかった。
そういう感じの人より、もっと真面目で落ち着いた雰囲気の人が私のタイプだ。というより川上くんそのものです。私、本当に川上くんが初恋なので。
だからこそ、さっきの川上くんの発言にはムカムカする。私の好きな人を馬鹿にしたんだから。恥ずかしくなかったらもっと言っちゃうところだったよ。
私もブレーキ踏むようにしないと。さっきとかもだけど、好き好きオーラ全開な気がする。もしかしたら誰かに気づかれちゃうんじゃない?
火照ったほっぺをペチペチして私もいざホールへ。
しかし、私の気合いは一歩で打ち砕かれた。
そこにいたのは超ニヤニヤした顔のシャーロちゃん。そして私を見つけるや否やおもちゃを見つけた子供みたいに一歩一歩私に近づいてくる。さっきまで仕込みしてたじゃん!
「大胆ナ告白だったネ、美吹チャン! すごイ良かったヨ!」
「ちょっとシャーロちゃん! 変なこと言うのはやめて!」
大慌てでシャーロちゃんの口を塞ぐ。他の誰かに見られたり聞かれたりしてない!? すごい怖いんだけど!
「落ち着いテ、美吹チャン。そこまで好きってノバレてるンダから、もう告白しちゃった方が良いヨ」
「ふぇっ〜!?」
落ち着いて聞いてみたらものすごいことを言われたよ!? シャーロちゃんどんな神経してるの!? これがアメリカのテンションなの?
私が顔を真っ赤にして狼狽えている横で、シャーロちゃんは冷静な顔だ。私、何か変なこと言った? と言わんばかり。
「だってだって川上くんには彼女いるんだよ。私が入り込むスキなんてないし、そんなことしたくないよ」
「川上クンのこと好きじゃナイとは言わないんだね」
「っっっ〜〜〜!!!」
私、シャーロちゃんに思いっきり嵌められた。どこまで日本語堪能なの。普通に私より日本語堪能じゃん。私は、シャーロちゃんの恐ろしい一面を見てしまったのかもしれない。
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