第18話 本音が……
「春野さん、みんなからの質問ですごい疲れたんだけど」
「あはは。ちょっといきなり過ぎたかも。でも、みんなもあそこまでびっくりしないでもいいのにね」
いつものようにバイトに来て、こうして着替えるわけだが、最近は春野さんとお喋りする機会が増えた。
薄いカーテン1枚先で春野さんが着替えている。そんな、男子なら給料1ヶ月分を差し出してでも居合わせたい場面で俺はさらに会話までしている。
かなり春野さんと仲良くなれたと言っても良いだろう。ただ男子あたりに何されるか分からないけど。
「春野さん人気だから。俺みたいな平凡、つまんない男子が仲良いから嫉妬したのかもね」
自分で言って悲しくなるがそれも事実。春野さんは可愛いし勉強も出来るし……って暗くなったらダメダメ! 俺も頑張るって決めたんだから。
俺が気合を入れ直そうとした瞬間、更衣室のカーテンが勢いよく開かれた。そこには当たり前だが、着替え終わった春野さんがいて……何故か怒った表情をしていた。
「そんなことない! 川上くんはすっごいいい人だもん! それにカッコいいしほんと……本当に……」
それだけ言うと顔を赤くしてまたカーテンを閉めてしまった。それより今すごい春野さんに褒められたんだけど!? なんでなんで? ドッキリとかじゃないよな?
「川上くん……先、タイムカード切って、ホール出てて。私も後から行くから……」
「あ。うん。先、行ってるから」
言われて更衣室を出るとニヤニヤ顔のシャーロットさんが。ちょうど仕込み中で更衣室の近くにいたみたいだ。
「二人ともいい感ジダネ。こっチまで二人のイチャイチャがキコえて来たヨ。おめでとウ川上クン」
「そういうのじゃないですから! シャーロットさん変なこと言わないで下さいよ。他の人にも言わないこと」
今はちょうどシャーロットさんしか厨房にいないから良かった。他の人までいたら最初に俺が彼女いるって言った時みたいに、即行でみんなに変な噂を流されかねない。
「川上クン。そういえば今日カラ新メニュー始まったヨ。美味しシかったから一回食べてミテね」
「コロッケ定食でしたっけ。すごい美味しそうな見た目でしたもんね。食べてみます」
俺はそのままホールへ。シャーロットさんはまた自分の仕事に集中するのだった。
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