第2話 水曜の忠告
その日、近くの席に座る女子から話しかけられた。右斜め前の
「ねぇ、あのウワサ知ってる?」
はじまりは、そんなフレーズだった。
「噂?」
昼食のパンを食べる手を止めて、彼女へと聞き返す。
「なんか、氷属性者に対処する法律の一環として、氷に派生する可能性の高い水と風の属性の人を監視?管理?する、みたいな」
初耳だった。というより、それは許されることなのだろうか。
二の句を継げない俺を尻目に、彼女は続けた。
「あたしは火属性だから対象外っぽいけど」
俺と、その隣、自分の後ろに座る女子──
「
そう言って僅かに
その会話が聞こえていたのか、俺の左側から
「犯罪者予備軍扱いして、リストに載せますって法案だろ?マジ頭おかしいって」
亮自身も雷属性であるので、遠藤と同じく俺や大原を含んだ対象者への理不尽に対して思うところがあるようだ。
友人思いの良い奴らだ。
それを受けて、俺は言った。
「この地域が特殊なだけで、
「でも、
彼女は"中途半端な魔法使い"のファンらしい。去年からの付き合いなので、その入れ込みようもある程度把握している。
そんなヒートアップする遠藤に続いて、もう1人の
「そもそも氷属性の人だって、いい人は居ると思うの。それをいきなり悪者に決めつけちゃうなんて、良くないんじゃないかな」
甘い。というより、危険すぎる。
俺はそんな彼女たちに対して、友人として、言わなければならないと思った。
「俺は、氷属性者はみんな悪だと思ってる。魔力暴走の結果はその内面にも影響を及ぼすってのは有名な話だろ」
「でも
反論しかける遠藤を遮って、現実を告げる。
「そうやって善人だと思ってたヤツが
何も言えずにいる彼らに追い打ちをかけるように、
「初めから悪だと思って、距離をとっておかないと、大切なものを失くしてしまう」
そう締めくくる。
魔の手から逃れる、そうでなくとも、ダイレクトに受けない、それなりの”距離感”というものがあるだろう。これはそういう次元の、悲しくも残酷な現実の話だ。
氷属性者の手によって俺が家族を失っていることは、去年も同じクラスだった彼らには知られている。
だからこそ異常なまでの重みと説得力を
しんみりした空気になってしまったし、最初の話題からだいぶ脱線してしまったが、それでも、これは、どうしても伝えなければならないと思った。
「でも、そんなの、悲しいよ」
静かに呟いた大原の言葉が、俺の胸を
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