幼い頃の思い出たち
リゼは貴族であったが元々は拾われた庶民の子であった。
リゼの見た目はこの世界では珍しい髪と目の色だった。
真っ白な髪に、夜空を詰め込んだような瞳。
貴族に生まれたならば、皆から愛されたであろうその色は庶民には愛されなかった。
リゼを産んだ実の両親は自分たちに似ないリゼを理解出来なく、5歳になるまでは耐えて育てたが、6歳になる前日にリゼを山に連れていきリゼが草原で寝ているその隙にこっそり置いていった。
リゼは自分が愛されていなかったことを理解していたため両親が居なくなったとき自分は捨てられたのだと理解した。
捨てられてからはどうやって生きるか、それとももう死のうかとひたすら考えていた。
しかし。
たった1日のとある男の子との出会いが、リゼを支えてくれることになる。
それは捨てられてから3回ほど暮れた日のことだった。
川の端に人らしきものがあった。気になったリゼはそれをつんつんした。
よく見るとそれは同じくらいの歳の子だった。
やがてその男の子が目を覚まし、事情を話してくれた。
川の近くで遊んでいたら川に落ちそのまま流されてきたという。
リゼはその男の子とともに流れてきたであろう方向に川に沿ってあるいていった。
たわいのない話をしたりお互い髪と目の色を褒めまくっているうちに
男の子の家族であろう人たちに出会った。
優しい人たちで
リゼと別れる際凄く心配してくれたがリゼはもう直ぐに両親が来てくれると嘘をついてその人たちと別れた。
捨てられてから人と会っていなかったからか会えただけで気持ちがいっぱいだった。
優しい人たちに迷惑をかける訳にはいかないとついた嘘だった。
捨てられてから2年が経つ頃、リゼは森の中を知り尽くしていた。
だがそれにも終わりがきた。
とある雨の日だった。
成り上がった貴族がリゼが住んでいた森を買収してしまった。
住む場所がなくなったリゼは町をとぼとぼあるいていた。
リゼの服装は捨てられたときのもので大事に着てきたがやはり2年も経つとボロボロだった。そんなリゼを見兼ねて「うちに来ませんか」ととある貴族がリゼを保護してくれたのだった。
拾ってくれたとある貴族は子供が出来にくい貴族であった。
ずっと欲しかった子供をようやく手にいれ、我が子のようにたくさん愛してくれた。
やがて婚約者を決める年になったリゼは、川で出会った男の子と再開し、その男の子、ハイトとの婚約が決定した。
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