Sランク任務を任される!
昨夜アーニャと相談した結果、リーファを【アクアラプラス】に加入させる方針で話が纏まった。
彼女はかなりの実力者だし、貴重な最上位職の魔聖女だ。アクアラプラスにとって大きくプラスになるだろう。
「万が一裏切れば私がやっつけてあげるわ」
「頼もしいな。流石剣聖だ」
「ふふっ」
俺達はアイギスの中央街を二人で歩く。
リーファとの待ち合わせ場所は、冒険者ギルドと決めていたのだ。
「止まれ!」
「何だ!?」
「私は王国騎士団長ガルーデルだ。国王の命令により城へと連行する」
俺とアーニャは王国騎士団に囲まれる。
流石に街中で騒ぎを起こす訳には行かないだろう。
俺達は顔を見合わせて大きく頷いた。
◇
「国王様例の二人をお連れ致しました」
「御苦労だった。下がってよし」
「はっ」
騎士団長ガルーデルが速やかに下がる。
俺とアーニャの前には国王とニヤニヤしたディオスがいた。
「国王様、連行される心当たりがないのですが」
「そうよそうよ。私達何もしていないじゃない」
「静かにしろ国王の前だぞ!」
ディオスは俺達の前で偉そうな態度を取る。
虎の威を借りる狐とはこの事だ。最も国王が虎かと言われれば首を大きく傾げるが。
「最近結成して、目覚ましい活躍を見せておるようだな」
国王は明らかに不快で不機嫌な顔でそう言い放った。
どうやら俺達を相当嫌っているらしい。
「国王様からありがたい任を頂戴するのだ。喜べ下等生物が」
ディオスは調子に乗って俺達を罵倒する。
相変わらず性格が悪く最低な奴だ。
それにいつもより俺に対しての風当たりが強い。
「これからお前たちアクアラプラスに重要な任務を言い渡す。喜ぶがいい」
国王とディオスはニヤニヤしている。
嫌な予感しかしない。
「先の魔獣ブラックウルフの闇の森は知っておるな。そこの深層に行って調査をして来て欲しいのだ。中の様子が分かっていないからな」
「お言葉ですがそのレベルのクエストは最低Aランク以上の冒険者が請け負う物では?」
俺の言葉にニヤニヤと笑うディオスが口を挟んだ。
「まさか恐れているのか? 元ホーリーナイトがか? はははっ、流石大嘘つきだな」
「ちょっとライルを馬鹿にしたら私が許さないわよ。そもそも追放したのあんたたちでしょ。ラプラスの悪魔を追放するとか見る目が無いわね」
「何だと貴様。誰に口をきいている。こんな大嘘つきを追放したのは当然の結果だ。見る目が無いのは貴様だ女」
アーニャが何か言い返そうとしたが俺が制止した。
「構いませんが一つ条件があります」
「条件だと? 国王に何て態度だ」
「お前には聞いていない黙っててくれ」
ディオスが俺に近づき持っていた剣を向けるが、俺は微動だにしなかった。
俺の瞳を見て、ディオスは歯ぎしりをする。
「まあよい。ディオスよ聞いてやろうではないか」
「分かりました。国王がそう仰るのなら」
ディオスが渋々と元の位置に戻る。
「それで条件とは何だ? 申してみよ」
「リーファを同行させてください。彼女の力が必要なんです」
「ならぬ!」
国王は凄い剣幕で怒る。
やはりリーファの周囲の利害関係は闇が深そうだ。
国王は恐らくアレイグルから多額の賄賂を貰っているな。
若しくはアレイグルが多額の賄賂を貰っているか。
「ではこの件はお断りします。それとリーファから俺達のパーティーに加入したいと言ってきました。ですので加入させることを決めました」
「何だと!? どういう事だディオス?」
国王は俺の言葉を聞いて慌ててディオスに詰め寄る。
ディオスはこちらを睨み国王陛下に慌てて弁解する。
「こいつらは嘘をついています。リーファをしつこく勧誘しているんです。決してリーファから加入希望などあり得ません」
「本当だなディオス」
「間違いありません」
相変わらず口達者だな。どうやらリーファを意地でも手放したくないようだ。
魔聖女は最上位職だから貴重なのは分かる。おまけに最年少最高成績だ。手放したくないのは道理か。
「ライル、アーニャ命令だ。今すぐ闇の森の深層を調査してこい。リーファの同行、加入は認めん」
俺達は再び騎士団に囲まれて国王の下から強制的に退出させられる。
◇
「むかつくわー。こっちが下出に出ていたら調子に乗って」
「気持ちは分かるがあの場で騒ぎは大きくしたくない。取り敢えず闇の森の深層へ向かうぞ」
「リーファはいいの?」
「今はいい。国王たちの狙いは俺達を危険なクエストへと行かせて抹殺する事だ」
「最低よね。こんなの当てつけじゃない」
《ラプラスの悪魔》を使わずとも容易にわかる。
俺達が国王やアレイグル、おまけに【ホーリーナイト】にとって邪魔な存在なのだろう。
だが直接手を下せば問題となる。だから戦死とさせようとしているのだ。
「まあ実力で黙らせてやろうぜ」
「そうね。闇の森の深層の調査ちゃっちゃと終わらせましょう」
俺達は待ち合わせ場所の冒険者ギルドに向かうが、リーファは存在しなかった。
流石に警戒されて護衛が付いているか? それとも軟禁か?
「やっぱりいないわね」
「予想通りだな。さっさと闇の森へ向かうか」
「そうね。でも残念、魔聖女の実力見て見たかったのに」
アーニャは残念そうにそう呟いた。
確かに最年少で魔聖女になったリーファの実力は気になるな。
まあ近いうち見れるだろ。
「じゃあ国王たちに一泡吹かせてやろうぜ」
「ええ」
俺達は闇の森の深層調査へと向かった。
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