第7話 デート日和 その2

 映画館の館内……

 

「咲子、席はどの辺?」


「席ねぇ……もう私が買えた時は、良い所取られちゃって後ろの方……。だけど、真ん中は取れたから!」


「そうか。なら、この辺の席から探した方が早いな」


 俺と咲子はチケットに印字されている席番号を探す。


「あっ、お父さん。この列だよ!」


 直ぐに咲子が席を見つけそこに座る。

 上映開始まで、まだ時間が有るので館内は明るく、雑談する声もあちらこちらで聞こえて来る。


 だけど自分の心の中では『咲子が何か行動を起こすに違いない!』と身構えていたが実際何も起きず、その咲子はのほほんとコーラをすすりながら、スマートフォンを触っていた。

 俺は何も起きない事に安心し、自分も手持ちぶさただったので、スマートフォン取り出し、ネットニュースのまとめサイトを眺める。


 しばらくすると館内の照明が薄暗くなり、館内についての案内が始まる。それが終わると映画の予告編が始まりだした。

 定番の恋愛物や青春映画、アクション映画等、様々な予告編が流れている。

 特に興味を引かれる映画は無いまま予告編は終わり、遂に本編が始まる。


 ……

 …

 ・


 映画の内容としては、とてもジゼルらしい内容だ。

 起承転結の転から始まり、そして起に戻り、後は承転結を進んでいく……

 ジゼル特有の自然景色・恋愛場面もしっかり有り、この年になっても色々考えさせてくれる。


 映画の途中、途中。俺はポップコーンを取りながら、ついでに咲子の方を見るが、映画を真剣に見ているらしく、こちらには気付かない。だけど、ポップコーンとフライドポテトは、映画が進展するほど上手に減っていった。


 2時間という時間はあっと言う間に過ぎ、心が不思議な気持ちに為っていた時には、スタッフロールが流れ始めていた。

 エンディングも終わり、館内に照明が付き出すと急に現実に戻される。


「映画も久しぶり見ると良いな」


「やっぱり、お父さん。最後の方が良かったね!」


「ああ」

「何か、子どもの頃に戻った気分だよ!」


 俺は感動の余韻よいんひたしていると……


「お父さん。感動しているところ悪いけど、そろそろ行こうか!」

「私、お腹空いちゃった!」


「えっ、さっき食べたばかりなのに?」


「あれだけじゃ足りないよ! 育ち盛りだし!!」


 その言葉に反応して俺は咲子の体を見る。たしかにまだ育って欲しい体型だ。


「あの~、ジロジロ見ないでください…」


 視線に気づいたのか、咲子はジト目で見てくる。


「あぁ、ごめん、ごめん」


「えっと、じゃあ、お昼は何か食べたい物ある?」


 俺は何か言われる前に話題を元に戻す。


「ん~~、ここに何が有るか判らないし、行ってみないと分らないな~~」


「たしかにそうだな。じゃあ、フードコートに行くか!」


「うん!」


 お昼ご飯はフードコート内に入っているラーメン店に、咲子は興味を示し、そこで食べることに成った。

 そこでも咲子はラーメンとご飯物を注文し、そつなく完食する。


 その後はデザート代わりにクレープを食べて、のんびりとモール内を見て回る事にした。モール内はカジュアルファッションや雑貨店、ファンシーショップ等、様々な店が入っている。


「ここのモール、こんな風に成っていたんだ」

「知らなかったな~~」


「えっ、お父さん。ここ良く来るんじゃないの?」


「来ると言っても、メインは下のスーパーだからな。この階は今日が2回目位かも知れない」


「へぇ~。色々案内して貰おうかなと考えていたのに……」


 少し残念そうに答える咲子。


「まあ、気になる店が有ったら見て来てよ。父さんはあっちの広場にいるから」


 そう言って広場の方に行こうとすると、咲子に腕を掴まれる。


「ダ~メ。私と一緒に回るの!」

「じゃあ、あっちから行くね!!」


 有無言わない内に俺は腕を引っ張られる。


 ……


 何故か2人でモール内を巡る事になった。

 雑貨店では小物入れを見たり、ファンシーショップでは、ぬいぐるみを買わされたり、本当に色々巡った。

 気になる店を見つけると、直ぐ咲子は入って行くから、付いて行くのが大変である。流石にランジェリーコーナーには入らなかったが……

 モール内巡りも一段落して、俺と咲子はスナックコーナーで小休止を取る事にした。

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