大勢の中の一人

第1話

出会ったのは数ヶ月前、snsの書き込みがきっかけ。綺麗な言葉遣いの彼女の投稿が気になった。

最初は挨拶程度、それから少しづつ会話をするようになった。会話と言ってもお互いの独り言にコメントとするぐらいで大勢の中の一人にしか過ぎない関係。

丁寧な言葉遣いで僕にコメントをくれる彼女。

時々、親しい人向けなのかフランクな言葉遣いで投稿する彼女。その言葉の使い分けが、なんだか距離を置かれているようで嫌だった。

だから彼女にDMで=もっとフランクに話しませんか=と送ってみた。反応がない…。

投稿やコメントは更新されても、相変わらずDMの返信はない。DMをしたことを後悔…。

彼女からDMの返信。DMのお礼が綺麗な言葉で丁寧に書かれた内容だ。

最後に=顔も知らない、親しい方ではないので、ごめんなさい=と書かれていた。僕が大勢の中の一人だということがハッキリしただけだ。

その日から、僕は時々彼女にDMを送っている。

～丁寧で綺麗な言葉の返信を待ちながら～

大勢の中の一人にならないように。