第4話 祖父×豪快
私の祖父ジョセフ・マウル・ルミエールは、
現役の当主様らしい。まだまだ子供に、当主は譲れないと、豪語している。
因みに、誕生日プレゼントは、魔法使いの杖をくれた。父ベルギウスから、私の好みを、聞いてくれていたのだろう。
祖父ジョセフは、この国、ベアー王国で、副外務卿の役職に就いている。年中外国を飛び回っているせいか、あまり屋敷にいないのだ。
今日は、祖父ジョセフが、久しぶりの休みとあって、祖父ジョセフに、甘えてみようと思う。
「おじいちゃん! 遊んで!」
祖父ジョセフも、私に甘い!
「おーフィン!! おじいちゃんと遊びたいとな! では、買い物にでも行こう」
「やったー」
私はこの世界に、生まれてはじめての、外出を経験する。私はくすねていたお金を、ポケットに入れて、祖父と市場へ出かけた。
もちろん馬車には、執事に兵士付きである。
貴族たるもの、何処の誰に、命を狙われているかわからない。用心が大事らしい。
馬車は目的地についた。そこは、
噴水が目印の、広場だった。
吟遊詩人は、曲を奏で、踊り子は舞う。
手品師は、手品を披露して、観客を沸かせる。何とも、賑やかであった。
そんな中、小さな子が、アイスクリームを食べており、躓き、私の服にアイスクリームを、溢してしまう。
「大丈夫かい?」
「うん! ごめんなさい」
私はその小さな子を心配して、気遣った。
小さな子も謝ったから一件落着と思った。
しかし、祖父ジョセフが、咄嗟に駆け寄り、言い放つ!
「貴様暗殺者だな!!」
いやいやいや! 祖父ジョセフよ! 流石に、そんな小さな暗殺者いねーよ!
ーーとは言い切れないのか?
兵士は殺気だち、小さな子の親が、必死で謝ってる。まぁ平民が貴族に、粗相をしたのだから、罪は罪である。
「おじいちゃん! 私も、アイスクリーム食べたい」
とりあえず、小さな子に敵意が向かわないように、話題転換をした。頑張れ! 強く生きろよ小さな子...
「おーそうか! フィン買ってきなさい」
私は、アイスクリーム屋に向かい、アイスクリームを買って食べる。
何だこの自然を感じさせる甘さで、舌に蕩ける舌触りは!!
大自然の有り難みを感じて、涙が出て来た。
因みに、あの親子は、兵士にどやされていた。こちらとは真逆の、修羅場だった。
私はわき目も振らずに、アイスを食べながら、余りの美味しさに、泣いていた。
すると、祖父ジョセフは、こちらに気づいたようで、アイスクリーム屋の店主を、脅し出す。
「我が孫を泣かすなど、貴様まさか暗殺者だな!!」
いやもうええわ!!
「いやおじいちゃん! あまりの美味しさに、涙が出てきただけだよ」
祖父ジョセフは、アイスクリーム屋の、店主の胸倉を離して、私にこう言う。
「いいかフィン! 良く聞きなさい! 近づいてきた他人は皆、暗殺者だ!」
いやそれどんな、地獄すか?
てか、祖父ジョセフよ!
貴方は、副外務卿だよね?
そんな発想で、仕事大丈夫なのかね?
私は呆れながら、祖父ジョセフの言葉を、右耳に入れて、左耳から抜く。
そんな教訓はいらない。
「おじいちゃん! 本屋さんに行きたい」
「おーフィン行ってきなさい」
私は、とある本屋に入る。
色々見るが、なかなか良いのが、見つからない。
そんな中で、一つの本を目にした。
「貴族の社交界のルール」である。
貴族は、パーティに呼ばれる事が多いから、礼儀を知らないと、大変な事になる。
さらに、この世界では、十二歳になると、
学園に通う事になる。それは、平民も貴族も、同じである。皇族相手に、下手な事をしたら、人生が詰む。
ただでさえ、変な物語の題名に、してしまったのだから...
「フィンよ! 何故この本を、選んだのかね?」
「おじいちゃん! 私は、貴族の子息です。学園に通うと、様々な地位の御子息に、出会いましょう。しっかりとした、礼儀を身につけたいのです」
祖父ジョセフは、私の百点満点の解答に、思わず涙が、出てきたらしい。
「よし! わしの後は、フィンに後目を任せるぞ」
いやそれだと、父ベルギウスが、不憫すぎないかね?
祖父ジョセフの代わりに、かなり政務をやっているのだ。
祖父ジョセフは、癖が強いが、孫にとっては、良い人だと思う。
祖父ジョセフはその後、手当たり次第、暗殺者だろ? と難癖をつけながら、私のはじめての外出は終わった。
外出とはなかなか面白い。私は前世ヤンチャだった為に、祖父ジョセフは、とても頼もしかった。祖父ジョセフを私は、大好きになったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます