第5話 魔法×変態


 私は先日、誕生日プレゼントで、

父ベルギウスから頂いた、魔法書を読みはじめる。


 なになに? 先ずは、人間全員に、魔法適性が、ある訳ではないらしい。


 適正を調べる方法は、下記の文章を読んで、笑う事が出来たら、魔法適性があるらしい。


 学問や道徳、宗教などを言い換えると、以下のように言える。

「お前は見られている」が宗教。

「見られていなくても」が道徳。

「どう見ているか」が哲学。

「見えるようにする」のが数学。

「見ることが出来たら」が文学。

「見・ら・れ・る・と・興・奮・す・る・」・の・が・変・態・。


 私は思わず、クスリと笑ってしまった。

すると、魔法士へと変わったらしい。


 なぜなら、自分の中にあるオーラが、外へ排出する勢いで、着ていた服が、全て破けてしまう。いゃ〜ん!


 部屋の中から、物凄い音がした為に、

アルファが、慌てて部屋に入る。

私は生まれたままの姿である。


 目と目が合い、私は裸を見られ興奮した。

どうやら私は、変態だったらしい。


「フィン様! 素っ裸だと、風邪をひいてしまいます。今、お召し物をお渡ししますから、お待ちください」


 このメイド、スルー力、半端ねー


 私は、着替えを済ませて、魔法書の続きをよむ。

先ず、基本属性は、火、水、風、土、闇、光の六種類あるらしい。


 更には初級、中級、上級とあるようだ。

例えば、火魔法はファイア、ファイアジャケン、ファイアバイ という順に、強くなるらしい。


 いやなんで、前世の方言なんだ?

確かに、強そうではあるが...


 更に読み進めていく。魔法をうまく使いこなすコツは、イメージだと思っている人は多いが、実は違うらしい。


 魔法はセクシーさで、決まるらしい。

セクシー?? 何故に、セクシーなのだろうか? そもそも、セクシーとは何だ? 


 私は哲学的に、悩みだした。

だから、アルファに聞いてみる。


「アルファ! セクシーな男性とは、どんな男性なの?」


「セクシーですか? 何故に?」


 私はアルファに、事情を説明する。

するとアルファは、悩みながら答えてくれる。


「やはり、貴族たるもの、華麗にダンスを踊れると、セクシーかと...」


 確かにそうだけど、魔法だよ? なんか、違うんだよな〜


 私は、次に母アリアの元に、テクテク歩いていく。


「母様! セクシーな男性とは、どんな男性ですか? 魔法書で、セクシーになるのが、魔法を使うコツらしいのです」


 母アリアは、微笑みながら答える。


「熊さんみたいな、強い男かしらねー」


 いやいや! どこに、セクシーさがあるんだよ! 熊好き過ぎないかね?


 女性の意見を、聞きたかったのだが...みんな的外れである。


 仕方ないから、政務の空き時間を見計らい、父ベルギウスの部屋にいく。


「父様! セクシーな男性のポーズとは、どんな感じですか? 魔法を使う為の、コツらしいので」


 父ベルギウスは、ひどく悩んだ。

悩んだ挙句、自分の理想を語り出した。


「やはり、剣術が上手いのが、セクシーなのではないだろうか」


 いや絶対違うよね? 剣術習わせたいだけでしょ? 知ってるよ! 貴族たるもの、剣の腕が評価される事を! 


 私は自室に戻り、前世の記憶を思い出す。

乙女ゲームや少女漫画の男性は、どうだっただろうか...そして私は、ホストやバーテンダー経験者じゃないか!! 何も恐れる必要はない。


 セクシーとは、やり過ぎると、ただの露出狂だ! ならばチラリズムかな? 手フェチもいたような...後はやはり、うなじかな?


 私は、セクシーについて、書き出していく。 必ずしも、前世のセクシーが、現世でセクシーかと言われると、わからないのだった。


 私は庭に出てみた。もちろん、魔法を試す為だ。


「エアロ」


 しかし、うまく出せない。

やはり、内側から出るパトスが、足りないのだろうか? 私は一回転して、花を贈るポーズをとりながら、魔法を放つ


「エアロ」


 すると、スカートが捲れるくらいの、小さな風が吹いた。


「お!! いけるぞ!! 前世の知識が、役に立つかもしれない」


 私は屋敷の周りで、魔法を唱えながら、

散歩した。


 すると痩せ細った、子猫が、屋敷の塀の前に捨てられていた。


 私は子猫を抱っこして急ぎ、屋敷に戻り、厨房へと向かう。


 コック達は、ビックリしていたが、気にしない。

スープの皿にミルクを入れて、子猫に飲ませてあげる。


 子猫は、ゆっくりキュピキュピ飲んでくれた。


 私は安心したと同時に、この子猫を、飼いたい衝動に襲われた。


 私は、父ベルギウスに相談する。


「フィンは動物が好きなんだね。動物を飼うのは構わないよ。後で、獣医に見せて、検査して貰えるよう手配しておくよ」


「父様ありがとうございます」


 やはり父ベルギウスは頼りになる。

この子猫にまずは名前をつけてやらなきゃな! 何が良いかな? 


 私は悩んだ挙句、ニャン五郎に決めた。

正直、私のネーミングセンスは微妙である。


 私は自室に戻ると、アルファに、ヤスリとオイルを用意させる。

もちろん自分の爪のケアの為である。


 ヤスリで爪を磨き、爪にオイルを塗ると、爪が輝き出した。


 まぁどの道、五歳で、セクシーもクソもない!!

ただ、日々の努力は、裏切らない筈だ。


 私はこの時、セクシー道を極めると誓った。


 魔法書を読み進めると、特殊魔法についても載っていた。飛行魔法や空間魔法などである。しかし、やり方が載っていない。


 ただ一言、特殊魔法は、先天的なもので、使えるかどうかは、運次第であると。


 私には、ランダム魔法があるではないか!! しかし、何事も、基礎から順にやる必要がある。


 私は、魔法書を穴が空くほど読み漁り、研究を繰り返したのであった。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る