第11話 会話の無いお茶会。

 ルトとカイが、殿下を嫌がり影に入ってしまって困りましたが、なんとかルクスたちがこの場に残ってくれて助かってます。

 だけれど…ルクスたちもお腹が膨れれは影に入ると言い出しそうです。


 私の方と言えば、殿下にお茶をお出ししてからの会話が……。


 どうしようかしら…話しが、話題が見つからないのよ。


 本当にどうしたら良いのかしら?殿下は私を無視して、新たに来た執事としか話してないので私がその会話に割って入る訳にも行かず…困ってます。

 だったら私は暫くルクスと話をしてようかしら?


(ルクス、それ美味しい?) 


 犬用のクッキーを、ポリポリ食べてるルクスに向かって話し掛けます。


『ん?これ、かな?』

(そうそう、それ……)

『美味しいけど……ホワイが、影に入りたいって言ってる』 

(あら、そうなの?なら入ってていいわよ?リズとグランは?)

『ご主人のお膝に居たいってさっ、ボクもご主人と抱っこしたい!』

(そ、そうなの?グランとリズは膝に来てもいいけど…ルクスは後で抱っこしてあげるからここでは我慢してて?)

『仕方ないなぁ~、ならボクはお腹一杯だから影に入るね!』


 とスッと影に入るルクス…なんかごめんね? 後で抱っこしてあげるからね。

 そんな感じで、ルクスが退場。

 リズとグランが膝に乗りますが……なんとも不安定ですわ膝が!


 目の前に座り、執事と話し込む他国の王子を放って自分の眷属達とまったりしてるのですが……ぐ、グレンの視線が…痛いです。


 グレン…だって仕方ないじゃない!目の前に座る私をほったらかして、自分の執事とこそこそ話してるのよ?そこに割って入れないじゃないの!


 そもそも、なんで私との会話を放って執事を優先するのが理解出来ません!

 もうこの際ですから…この場をお開きにしたいわ。

 と、グレンが入れてくれたお茶を飲むパトリシアが「ふぅ~」っと目の前に座り、執事とこそこそ話をする光景を見て溜め息を漏らした。


****


ジークフリードside


「コソ (お、おい!マルナス)」

「コソ (なんで、御座いましょうか?)」

「コソ (前にも思ったのだがな?マルナス!お前なんで、これ程の物が(茶とジャム)我が国に無いのだ?)」

「コソ (はぁ~これ程の物とは?それに、殿下。前にもと仰られても私は知りませんが?)」

「コソ (それは…そうだが!だが、このジャムとか謂う物を、茶に入れて飲むなんて!うちの国ではないぞ!こんな…出来立ての国に、我が大国が負けるなんて!あり得んぞ)」

「コソ (殿下……ここではそんなお言葉は、お気をつけ下さいませ?ましてやこの国の王女様の前です。王女に聞かれでもしたらどうしますか?)」

「コソ (ふん!顔だけ美しくても、会話も楽しめないなら居なくていい)」

「コソ (それは殿下にも、問題はあるかと存じますが?)」

「コソ (ふん!私は客だそ?客を楽しませるのは迎えた側の仕事だ!私は知らん)」


 な、なにを仰ってるのかこの王子は!

 婚約を申し込んでるのなら、少しはご自分をアピールをして頂きたいものですが…。

 これは…早々に、場を切り上げた方が今回は良さそうですね。


「コソ (それでは殿下、本日はこれで場を切り上げてはいかがでしょう?)」

「コソ (ほぅ…切り上げいいのか?)」


 良くはないだろ!と言いたいが…話のネタもないなら切り上げてくれ。


「コソ (良くはありませんが、殿下に話すおつもりが無いのなら、この場は下がりませんか)」

「コソ (では、そうするか…)」


 だが…この場を離れるのにどう切り出すか……?




 ̄ ̄ ̄ ̄


おかしい……そもそもこの王子が、パトリシアと話をしたかったから場を儲けて貰ったのではなかったのかな?



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