第9話 ルクスの体格……。

 サロンへグレンと連れ立ってやって来ると、ジークフリード殿下がもう先にサロンに着いていた様ですわね?


 どうやら、私達を待っていた様ですわね。

 それに、新しくいらっしゃった執事さんと御一緒でした。

 

「お待たせ致しました。殿下、待ちまして?」

「やぁ、パトリシア嬢そんなには待ってはないよ?」

「そうですの?それなら良いのですが……。あの殿下、そちらの方が新しく来られた?」

「あぁ、そうだよ。マルナス挨拶してくれ」


 殿下が挨拶をというと、新しく来た執事が私に顔を向けて丁寧に挨拶をしてくれる。

 どうやら前の執事とは違う様ね。


「お初にお目に掛かります。私が、殿下の第一執事のマルナスと申します。以後宜しくお願いします」

「ええ、宜しくお願いしますわね?私の執事も紹介しますわね?」

「はじめまして。私がお嬢様にお仕えする、グレンと申します。ここで分からない事があれば、ご遠慮為さらず、何でも聞いてください」

「それは有難いです。グレン殿宜しく頼みます」


 ナルスと名乗った執事さんの感じは、前よりは良いのかな?

 でも、鑑定すれば……一癖ありました。

 まあ、ここは暫く様子見ですね。


「さて、挨拶が終わったかな?パトリシア嬢」

「ええ、そうですわね。でしたら先日の東屋まで移動されますか?」


 その方がルクス達には良いと思うのよね。

 自由に動き回れるだろうし?


 それから東屋の側まで来ると、芝生の上にシートを敷いてその上に座り、ルクス達を影から出せばルクスの喜びハグが襲い掛かってきた。


「……うっ!」


『ご主人!なに?』

《ご飯は食べたよね?なに?》


 ルクスが鳩尾目掛けて突進してくる、衝動をまともに鳩尾で受けてしまい、激痛で痛がってる私を他所にルクス達が私に話し掛けるけど……今は痛くてそれどころではない!

 本当に痛い……。

 ルクスは子供とは謂え、体格はもう仔犬のそれではなく正犬で身体も大きく成り、ラブラドール以上の多きさがある。毛並みがモフモフしていて可愛いのだけれど…重い………。


 すると、影から一緒に出てきたリズが私の側に来て私の手の甲をペロッと舐めた。

 猫の舌はざらっとしていて痛い……こっちも痛いけど…これは慰めてくれてるのかしらね?


 カイは私の肩に乗って来て、頬をツンツン鼻でしてるし。グランはリズと同じでペロペロしてる。

 地味に痛いけど、可愛いから許す!


 ホワイは、私の膝にむりくり乗って来てぬくぬくしてる。

 ルトは、カイとは反対側の肩に乗って来てじっとしてる。

 ………これは動けないですわね。


 鳩尾の痛みが治まると、私は目の前で座って嬉しそうに尻尾をパタパタさせてるルクスに注意をする。


「ルクス…毎回影から出てくるとどうして私のお腹に目掛けて突進してくるのかしら?痛いからやめて下さい!」

『エヘヘ……ごめんなさい』

《ルクス、楽しいんだよね?》

『へへへ、ごめんなさい。えっと…ご主人何かごようなの?』


「ええっとね(誤魔化したわね?)…」

『エヘヘ』


 ………話をする為に、ちゃんと顔を上げて殿下達を見れば…なに?

 皆で笑いを堪えてるわ、なんで?私…なにかしたかしら?

 ………??


「お嬢様、お腹辺りを痛くされた様ですが、平気ですか?ククク」

「平気じゃないわよ?グレンなに笑ってるのかしら?」

「ククク、パトリシア嬢。君は中々愉快な従魔をお持ちの様だね?毎回そうなのかい?ククク」

「………えっと…そうですわね?毎回鳩尾にこのこ…ルクスが突進してきますわね」


 ルクスを出す時には、毎回構えるのだけど…大きさで負けます。

 本当にお腹に鉄板でも入れてから出さないと…。


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