第4話 温室には案内をしたけれど……。

 ルヤス陛下から早速温室に案内をと、急かされて陛下と王子にお父様と私。

 それと何故か、アレクお兄様?それに数人の護衛に執事達を引き連れ、勿論グレンも一緒に温室に向かいます。


 せ狭い………。


 先ず向かう温室は、桃の生る温室にご案内します。


「おぉ!なにか……甘い香りがするぞ。なんとも良い匂いだ」

「ここは、桃という木の実が生る温室です」

「ほぅ……桃というのか?」

「ええ、父上私も知りませんでしたが、実は甘くて美味しい果物です。パトリシア嬢が言うには、この桃の葉は、薬効成分も有るそうですよ?」

「な、なんと!」

「ええ、湿疹に良く聞きますし。葉を乾燥させればお茶になりますわ。それと女性にはお肌に良い、化粧品に成りますよ?」

「シア!桃の葉は、そんな効能が有ったのか!」

「え?ええ、私は前から使ってますわよ?あと琵琶の葉も乾かして、お風呂に入れれば此方も桃の葉同様に、肌荒れに効きますわよ?あとお茶にもなりますわね?」

「それは凄い!我が国でも是非、育てて見たいものだな?なぁジークよ」

「ええ、ですが我が国で育っかどうかは、……なんとも言えません」

「ほぅ……それは?」

「父上それより、別の温室も見せて貰いませんか?未々あるのですよ色んな果物が」


 あっ!私が説明したことを丸っと忘れてるのかしら?フフフお馬鹿様ですわね。


「そ、そうか……なら、詳しい話しは後で聞くとしようか?では、次はなにを?」

「パトリシア嬢。次は……檸檬と、みかんの温室に案内を頼みたいが……?」

「ええ、喜んで。では、そのあとにリンゴと梨の温室を、ご案内しますわね?殿下」

「あぁ頼むよ」

「フフフ。では、行きましょう」




 そして、温室の案内が終わり貴賓室に戻って来ました。

 温室では質問が多くて、答えるのに大変でしたが……何とかなった気がします。

 後困ったのは、同じ温室がルヤス国でも建てたいとか言われて。……なんとも、お答えに困る場面がありました。

 何せ……この温室は、私の魔法で建てた物です。

 ドワーフ達でさえ難しいかもしれませんし、他国でドワーフが暮らすと言う話しを聞きません。


「お疲れ様でした。……どうでしたか温室を見られて?」

「そうだなぁ……中々我が国では、難しいのかも知れんな……。それにあの果物は、この領地でも良民は作ってないのだろ?」

「ええ、そうです。何せパトリシアの趣味で作っているだけなのですよ。ですから、民達には出していないのです」


 そうなのです、民の皆様に行き渡らせるならもっと広い場所に畑でも作って、育てないと成らない。

 ですが未だそこまでは、行き着かないのが現状ですわ。

 それをやるなら、山肌を削り畑にしないと成らないしその為には、整地もしないと成らないし。

 その畑を管理して、農業をして貰う人を集めないと成らないので、色々大変なのです。

 それと苗も数が必要です。


「そうか…それは、惜しいなぁ。だが、ジークがパトリシア嬢と婚姻もしくは懇意になれば。我が王宮にあれらの、果物は届かないだろうか?それに、あの苗を数株別けて貰えないだろうか?我が国で独自に、育てて見たいものだ」

「はあ……それはパトリシアの判断に任せますので、私から何も言えません。後程パトリシアと直接話しをしてください」

「そうか……では後程、ジークと共にパトリシア嬢と話しをしてみよう。パトリシア嬢、後程な?」

「ええ、国王様分かりましたわ」


 するとクレオが、晩餐の支度が出来たと私達に声を掛ける。


「そ、それでは皆様……そろそろ晩餐の支度が出来た様です。どうぞ食堂へ、ご移動下さいませ」

「あぁ分かった。それでは陛下どうぞ此方へ。私共の伯父も同席しますが、宜しいでしょうか?」

「あぁ構わんよ?私は無理にここに来てるからな。此方の都合で動いてくれ」

「ありがとうございます。では向かいましょう」



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