第11章 

第1話 他国の国王。

 東屋からサロンに戻ると、偶々お父様に叔父様のお二人がお茶をして居ましたわ。

 なんてラッキーなのでしょうか……。

 そして、殿下の飛竜の件をお二人ににお話しをしたら……お父様が難しい顔をします。

 どうやら、不躾に他国の王など来られても?と、お考えの様ですわね。


 でも、来てしまうらしいと言えば、叔父様と顔を併せて黙り混んでしまった。


「「……」」


「で、どうやってここ迄来るのだ?」


 あの国はここからは遠い筈、馬車では時間も掛かる筈だが?と叔父様が仰います。


「どうやら彼方の国王は、飛竜に乗られてこちらに来るそうですわ」

「ひ、飛竜だと!はぁ…全く厄介だ!(そうか飛竜を使役していたのか…)」

「それでパトリシア、お前はあの不法侵入者をちゃんと、泳がせてるのか?」

「フフフ、お任せ下さいませ?叔父様!」

「そ、そうか……。すまんねパトリシア?嫌な役をさせてしまって」

「まあ、そうですわね…。厄介ですわよ?それに、案外人を騙すのは苦痛ですわね?ですが私にももう少し、あの方達の情報を教えて下さいませ?」

「……まあ、パトリシアはそのままで。あの者達の、お相手をしててくれると助かるのだが?」

「……まあ、仕方ありませんわね?でしたら、もう少しですわよ?」

「ああ、悪いね…パトリシア。だが、お前にはちゃんと褒美を出すからね」

「承知しましたわ。お父様…」




◇◆◇◆◇◆




 それから三日目午後、殿下とお父様に叔父様、それに私達兄妹で、お客様のお出迎えの為に騎士達の練習場を整備した一角で空を眺めてます。


「それで?殿下。今からここに、飛竜が到着されるのですか」

「ええ、来ますよ。あそこの方角から来る筈だよ。あ!あそこ少し影が見えてきましたよ。見えますか?」


 そう殿下は仰りますが……見えません。

 殿下は念話をされてるのかしら?


 私はこっそりと後ろ手に、望遠鏡を作って殿下の指をさしてる方角を覗き見る。

 すると、全く肉眼で確認出来なかった飛竜の影が三体程うっすら見えて来ましたわ。

 でも…あれ三体かしら…なんか多くない?


「あ!本当ですわね?殿下あれですか、わぁ~見えますわねぇ~。ですが、此処からだとまだ遠いでしょうか?」

「あ、あぁそうだろな?パトリシア嬢……だが」

「シア!お前はそんな物を何処から出したのだ?ん?」

「おや?パトリシア……良い者を持ってるねぇ…。私にもそれを貸してくれないかい?」

「アハハま、また後でで……」

「そんなことを言わないで?ねっ?」


 ニッコリ笑って話し掛けて来るのですが……。

 叔父様以外の目が痛いです。


 特に、アレクお兄様と叔父様のお二人のお顔が私の顔に近づく。

 ち、近い…!ですが……お二人ともアップに耐えられるお顔で……羨ましいですわぁ~。

 アハハ!やっちゃったわ。(汗)


「パトリシア……それはなんだい?私にも教えて欲しいのだが?」

「そ、その話でしたら、また後でにしませんか?お父様。それよりほら!も、もう少ししたらお客様が、ご到着されますわ」

「パトリシア嬢、すまないが…。私にも、それを後で見せてくれないか?」

「え、えぇ殿下、それでは後程。(お願い忘れて下さい。というか見せないわよ!)」

「あ!そろそろ、此処に来るな…」


 と呑気に謂うのはヴァンスお兄様ですか?

 なんともマイペースです。

 でも後から怒られるのは確定ですわね。


「おお、久しぶりに父上と会えます!アデス殿、父の来訪の許可を出して貰い感謝します」

「いえ、ですが…突然のお話なので。さしてお構いも出来ませんがね。確認しますが殿下?」

「なんですか?」

「陛下の突然の来訪ゆえこちらは、何も出来ませんが。それでいいですね?」

「ああ、それで構わないそうだ。なにせお忍びだそうだしな?すまんな父上が我が儘で」


 昨日殿下から伺ったのですが……。

 この、短期間の間に殿下のお父様と、一緒にロミノと言う執事の交代で、第一執事と言いう方がくるそうです。

 ですが……何で国王様が来るのでしょうか?

 それは国王陛下の我が儘だそうです。

 だけれど……それだけではないみたいですわね?

 何せ殿下のお母様は来られないのですから。


「パトリシア!そろそろ、お出迎えだよ。失礼の無いように?」

「わかって居りますわ、お父様」


 それにしても、いきなりのご訪問です事!

 他国の国王なんて対応に困るわ。

 空からの防衛も考えないとかしらね?


 そして、ルヤス王国の国王様が私達の元にお着きになりました。

 それにしても飛竜…大きいわねぇ~!

 それに鱗が光って綺麗だわ!

 竜の鱗の色が様々なのね?一種類なのかと思ったら色んな色があるわね。あ!あの子の色綺麗ね?


「シア!おい!シア何をボーッとしてる!お客様に失礼だ!」


 あ!そうでした。


「これは大変失礼致しました。飛竜達がとても綺麗で、見とれてましたわ。ルヤス国の国王陛下ようこそベルガモットへ。私はパトリシア・ベルガモットと申します」

「ワハハハ!お初にお目に掛かる。私はルヤス国の王で、名をアルバン・ナルス・ルヤスと申す。この度は息子が無理にこの領地に押し掛けて申し訳ない」

「い、いえ。飛んでも御座いません。私がこの領地の当主アデス・ベルガモットと申します。そして私の隣が………」

「弟のハンス・ベルガモットと申します。アルバン国王陛下、ようこそ我が領地にお出でくださいました」

「あぁ、宜しく頼みます」

「さぁどうぞ城の方へ城までは、歩いての御案内で申し訳ないのですが……」

「あぁ構わんよ?アデス殿だったか?何分此方の我が儘で、突然の訪問だからね?」


 急場凌ぎで飛竜の着陸場所を設けそして、城まで歩いて向かうスロープを、急いで造り上げたのよ。凄いわ私って……。

 

 って、お兄様に自慢したら呆れられましたけど………。クスン。

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