第59話 念話の範囲……。

 クビは良いとしても、…それでは私が悪者ですよね?あれ……違う?


「あ、あの……ですが。それでは、私が悪い様に思われて仕舞いませんかしら?私は…何もしてませんわよ?」


 ちょっと殿下に聞いただけだもの……。


「おっとそうだね…奴も勘違いしそうだ。少し待ってくれ、席を外すが良いかな?」

「ええ、構いませんわよ?」


 殿下が東屋から出ると何にやら考え事をしてるのかしら?

 もしかして……念話かしら。


 それなら案外優秀なのかしら?鑑定したいけど……不敬だし出来ないのが……もどかしいわ。


 無理やりこの国に入り込んで来た王子様……。

 一体なにが目的なのかしらね?


 はっ!まさか私と結婚してこの国を乗っ取り積もりなのかしら。

 ……あり得るわね。

 それなら早々にお国に帰って貰いたいのですが、どうやってこの方を追い返したら良いのかしら?お父様やお兄様達は何かお考えがあるのかしらね?

 まったく、悪巧みをしてこないで素直に国に来れば結構イケメンなのに……残念ですわね?

 多分…でも悪巧みしか出来ないから……。


 おっと色々考えてしまいましたわ!

 そろそろ王子がここに戻って来るわね用事が終わったのかしらね?

 と、いうか……念話…通信出来てしまうのは不味いですわよね。

 半径どれくらいで通じるのかしら……魔力に寄って念話範囲があるのかしら?


 色々考えていたら、東屋に戻って来た王子に声を掛けられてしまいましたわ!

 

「待たせたね。急に席を立ってすまないね?」

「い、いえ。特に待って居りませんわよ」


 殿下にそれだけ言って、冷めた紅茶に手を伸ばす。


「フフフ。冷たいなぁ。まあ、そこが良いのかな?他の貴族のご令嬢とは違うので楽だよ」

「違う……ですか?」

「ああ、貴族の令嬢たちは位の高い貴族や王族に直ぐに媚びるだろ?やれ良い馬が手に入ったと言って、しなだれ掛かってきて乗馬に誘うとか。諸外国の菓子が手に入ったと言って、茶会に誘ってくる。私も学園に通って居たがね。あの頃は勝手に取り巻きが作られてて、ご令嬢同士の醜い言い争いが絶えなかったよ。それに比べると……君は冷めてるよな?」

「……そうですかしら……?余り興味も湧かないのですわ。それに学生の頃というか、最近まで婚約者が居りましたし。王妃教育とか理由を付けられて、自分の屋敷と学園と王城の往復でしたし。外出は禁止でしたし……?」


 そう言えばあの頃は、他の学生……特に殿方と話しをしてるのを、王子の護衛に見られて告げ口されて王妃からよく嫌味を言われたのよねぇ~。


 あれは面倒だったわ……。

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