第55話 取り持たなくても大丈夫!
東屋から出て、ルトをモフモフしてたら他の子達も食事が終わった様で…。
ルト達が…僕も私も撫でてと言って来る。
なので六匹のチビッ子達と、芝生の上で殿下をそっちのけにしてモフモフ、していたらグレンに注意されてしまった。
「お嬢様!殿下を放っておいて良いのですか?取りあえずは何かしらした方が?」
「あぁ、それね?」
パチンと指を鳴らして、遮音の結界を私とグレンの周りに張って……これで音は漏れないし何なら認識阻害の結界も追加です。
「ええっと、何でしたか。……あぁ、殿下を放っておいてですの?」
「お嬢様!これは不味いでのでは?」
「良いんじゃないの?あっちの執事が、私に失礼なんですもの。顔を見てると腹が立つのよ!食欲も無くなったわ!グレンあれ片付けて良いわ。何なら鞄に仕舞って下げてくださいな」
「で、ですがお嬢様……」
「いい?下げてね。さて、結界を解除するわよ?」
パチンと指を鳴らして全ての魔法を解除した。
(お、お嬢様……どうするのですか……あれ!固まってますよ?)
「良いわよ?それにもうお暇するもの。なんか我が儘だけど……気が逸れたわ」
それだけいって、ルトとグランを抱いて東屋に戻る。
さて、何て言って場を離れましょうかしら?
「殿下?御食事終わりまして?」
東屋に戻って殿下に声を掛ける。
「あぁ、頂いた旨かったよ。それと先程の執事の失言に再度謝りたい。ほら、ロミノお前ちゃんと謝ってくれ。そもそも私が、パトリシア嬢に魔法を教えて欲しいと願い出たのだ。それなのに、何故お前が!シャシャリ出てきた?お陰でパトリシア嬢の機嫌を、損ねてしまったではないか!」
「も、申し訳御座いませんでした」
殿下執事が深々と頭を下げてくるわ。
あら?私が席を外してから何か、お話しでもしたのかしら?
へえぇ~これは自分の好感度を上げるつもりなのね?でも流されませんよ?
でも謝ってるのに、ここで私が折れないとまたややこしく為るのわね……。
だったら、愛想笑いだけでもしてここは遣り過ごさないと。
「い、いえ、私こそ……子供っポイ事をしまして、申し訳御座いません」
「フフフ。出ていかれたのは驚きましたが、こいつの所為いで、場を壊してしまいすみませんでした。それと、君の分の料理は……時間が経ってしまい…申し訳ないです」
乾いたサンドウィッチの皿を、しげしげと見る王子ですが勿体ないことをしたわね。
料理長ごめんなさい…後で何かしらお詫びをします!
「いえ、大丈夫ですわ。グレン、申し訳ないけど下げて貰って良いかしら?代わりにお茶を、殿下と私に頼めて?」
「……畏まりましたが。お嬢様。料理長が嘆きますね?」
「そうね……後で、ちゃんと謝りに行くわ。グレン」
「……それでは少し、お待ち下さいませ。お茶のご用意を致しますので」
「すまないね。グレン殿」
「……いえ、私には、そのように仰らないで下さいませ。お嬢様の気まぐれに、お付き合いさせてしまい申し訳無く………」
と言って出した食事を仕舞い、頭を下げて一旦東屋から出ていった。
それにしても…グレン…私の気まぐれですか?
「……」
さて何を話しましょうか?
《ねぇご主人?》
(何かしら?ルクス)
《おうじ様の、側に行ってもいいの?》
(ちょっと待ってね?いま確認するから)
《面倒だね?》
(フフフ。少しだけよ?待っててね今聞いてみるけど…。でもルクス、大丈夫よ?取り持たなくても?)
『フフン、大丈夫だよ?取りあえず行くだけだよ』
(まぁそうなの?)
「パトリシア嬢、どうしたのだい?」
「すみません。この子……、ルクスと言うのですが。殿下の側に行きたいそうですわ?側に行かせても大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だよ。えっとルクス?おいで」
「《わぁ~い!》ワン」
「おお、かわいいなぁ~。よし、よし。………ん?」
「なんですの?ジーク殿下?」
「い、嫌、なにも?後で話そう。それにしても……毛並みも良い。モフモフで……触り心地も良い。自国に置いてきた従魔が恋しいなぁ」
「殿下はどの様な従魔を使役しているのですか?」
「え?あぁ言って無かったかな?」
「ええ、多分お聞きしてないかと……」
「そうでしたか?大した従魔ではないので言わなくても良いかと思ってね?でも知って欲しいので話すが……シルバータイガーだよ」
「………シルバータイガーですの?」
そ、そんな魔獣って居たのねぇ……この世界は広いわ!
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