第54話 ジークフリード side

 パトリシア嬢が機嫌を損ねて、東屋から出ていってしまい……どう取り繕えば良いのか困惑中だ。

 …その原因を作った人物はこいつだ!


「ロミノ……」

「は、はい?何でしょうか」

「お前………毒味を役を買って出たのだから、これは食べろよ?今すぐにだ!馬鹿者めが!それと、要らん口出しは二度とするなよ!折角会話が続いてて、此れからって時に者魔をして、なにがしたいのだお前は!」

「ええ、毒味はするつもりです。邪魔等はして居りません。私は殿下の為を思って、情報を漏らさない為に口を出したのですから」

「はぁ~。私の思いが、パトリシア嬢に届いてないのはお前の所為か?」

「何の事でしょうか。私は殿下の為を思って行動した迄です」

「どうにもパトリシア嬢に、私の思いが伝わらないのが不思議だったのだ。それはロミノお前の所為だったと……?」


 ここ最近やっと、彼女との距離が縮まった気はしてたのだがなぁ……。


「何を言ってますか?殿下の行動が、あの王女に響いていないのは、あの王女が鈍いのですよ!折角殿下が、親切に声を掛けたと言うのに……。若しくは、殿下の行動が安っぽいからなのでは?決して私の所為では、御座いません!あれくらいで、へそを曲げるならそこまでの人間なのでは?王子には似合いません!」


 こいつ……何を勘違いしてるのだ?

 私がの行動が安っぽい?だと!

 王女が似合わない…まぁ、傷物ではあるがな。

 っと、それどころではないぞ!

 私に対して不敬だこいつは!


「言い度胸だな!ロミノ!私にそんな口を利くとは!」


 いまいち、私の考えがこいつに伝わらないというか、空回りが多いと言うか一言多いと言うか口が過ぎる!

 こいつ、年々使えなくなってるな。

 それに比べてあのグレンと言う執事……あの者は実に出来ている。

 つくづくパトリシア王女が羨ましい。

 あの執事も我が国に引き入れたい者だな。

 それに、他の使用人にも恵まれて居るようだな。


「で、どうするのだ?パトリシア嬢が。彼処で結界を張ってしたって出てこないが?」


 パトリシアの、姿が見えなくなった場所を指をさしてロミノに問う。


「それは、私が悪いと?」

「当たり前だろ?あれでは、こちらから声も掛けられない。お前の所為だぞ!たかだか属性魔法を聞かれたぐらいで、何を腹を立てる事がある?そんな事で、騒いでどうするのだ?私が彼女に魔法を教えてくれと、頼んだのは聞いていなかったのか?」

「聞いて居りましたが。殿下の属性等言える訳も!機密事項ですよ!」

「お前……私の縁談をぶち壊すのが目的で、ここに付いてきたのか。やはりお前は、連れてこなくても良かったな。第一執事のマルナスを、供にすれば良かった……はぁ~」

「そ、そんな。私は殿下の為を思って」

「為ねぇ~。お前がどうしてもと、言うからこの旅に動向させたが失敗だったよ。全く私の足を引っ張り、何をしたいのだ?教えてくれ」

「そんな!私は足を引っ張る等……ただ、あのご令嬢は傷物ですよ?そんな娘等殿下には」

「黙れよ?何を…いまその口で言ったか?ロミノ」


 ロミノに威圧を掛て睨み付ける。

 今はその話をするのは駄目なんだよ!未だ早いだろ!


「ひっ!も、申し訳ございません殿下。ですが私は殿下の為を思って……」

「ほぅ……。お前、明日この領地から自国に戻れ!代わりに、マルナスを寄越すように手配をする。お前の感情など、私には関係無いんだ。父上に了解を得て、ここまで来たのだぞ。それが分からないなら、お前など要らん何処へでも行け!役立たず」

「そ、そんな………私は!」

「黙れ!ほら毒味するんだろ?早くしてくれよ?私は腹が減ってるんだ。折角パトリシア嬢と一緒に食事をしたかったのに。ぶち壊しやがって!」


 彼女がこの東屋に戻って来るかも分からないなこれは……。

 はぁ~また一からやり直しだ、くそ!


 何としても私は、王女と婚約を取り付けないと為らないのだぞ!

 

「殿下………食事に毒は無いようです」

「………馬鹿目が!当たり前の事を偉そうに言うな!」


 そして、出された食事に手を付ける。


「……旨い………はぁ。余計な事を……」


 パトリシアが食べる筈の食事を、恨めしそうに見るジークフリード殿下であった。

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