第52話 生活魔法は誰でも使えるでしょ?

 それを…私に言われても判断できないわ。

 って、言うかその話しは絶対無理だと思うのよ。

 この領地の技術は、口に入る物でも何でも他領地や他国には門外不出にしてるもの。

 あら………違うのかしら?


「申し訳ありません。殿下それは……お父様に了解を取って頂いても宜しくて?」

「……そうだったね。君に言っても困らせるだけだったね?すまないね」

「いえ、気にしないで下さいませ?さぁ、次の温室は、大変珍しい果物を育ててますのよ?」

「へぇ~それは楽しみだね?」


 そして、残りの2箇所の温室を殿下と見回り東屋に戻る。


「殿下、お疲れでは御座いませんか?」

「い、大丈夫だよ。でも喉が乾いたかな?ハハハ」

「そうですわね?いま執事に用意させますわ。何か冷たい物でも宜しいでしょうか?」

「あぁ、是非。飲みたいな。なぁ、ロミノ?」

「えぇ。お願い出来ますか?パトリシア様」

「承知しましたわ。グレンお願い」

「畏まりました。それでは、昼食も一緒にお出し致しましょうか?」

「それは……良いね?食後にあの温室で気になった琵琶と、梨を食べたいのだが……良いだろうか?」


 あら?琵琶と梨に興味を持たれたの?

 まぁ、見せてるから興味は湧くわよね…にしても…果物の名前覚えてたのね?

 だって、この方の殆んど私の説明を笑顔で乗り切ったのよ。

 説明をしていても頭に「?」マークが乗ってたわ。

 本当に何がしたいのかしら?


「では、御用意致しますので少しお待ち下さいませ」


 グレンが城に戻って行くと、グレンと入れ違いにチビッ子達が東屋に戻って来た。


《《主……ごはん》お腹すいた》


(ちょっと待ってね。いまグレンが持って来ると思うから。それと、皆ここに並んで綺麗にするわよ)


 私の言うことをきいて、ちょこちょこと横一列にチビ達が並ぶので、クリーンを掛けて綺麗にしてから、長椅子にルクス以外を乗せる。

 そんなことをしていると殿下から声を掛けられた。


「パトリシア嬢……」

「な、なんでしょうか?」

「君も、クリーン使えるのかい?」

「え?えぇ使えますわよ。殿下もお使いでは?」

「いや、私は使えない。別の魔法は使えるのだが、……浄化の魔法だけは使えないのだよ」

「そ、そうなのですか?生活魔法は何方でも使えますわよね?」

「そうなのだろうが……。どうもコツが掴めないのだよ、その他は使えるのだが。そうだ!魔法を教えて貰ってもいいかな?」

「で………殿下に私がですの?」


 コツ………教える?どうやってですの?

 ………困った。


「えぇっと殿下、お聞きしたいのですが……?」

「なんだい。パトリシア嬢」


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