第43話 もう一部屋。

 翌日の昼、家族全員で昼食を終わらせた後にサロンでゆっくり……じゃなくて、殿下とお約束をしたのでその夕食の相談です。


「お父様……」

「なんだ、パトリシア」

「どうした?シア。今日のお茶は、アプリコットジャムを入れるのかい?………むっ!これも旨いな………」

「そうですのよ、美味しいでしょう?お父様!ではなくてですね……御相談ですよの?」

「相談とは、なんだパトリシア?」


 あっ、お兄様も居るのだったわね,


「えっと、お兄様…今夜のお夕食の件なのですわ!」

「夕食がどうした?自分の屋敷か、城で皆と取れば良いじゃないか?」

「ええ、いつもならそうするのですが。今晩は少し困っておりますの。お父様、少しお願いがあるのですが」

「お願い?一体なんだい」

「今夜ジークフリード王子と、お夕食を御一緒にすることに為ったのですが。その…場所が思い付かなくて困ってますの」

「殿下と夕食をかい?随分と、仲が良くなった様だね?パトリシア」

「違います!無理やり約束させられたのですわ!まったく面倒ですわ」

「そ、そうか……。それは困ったね?それともう一方彼方の親子…伯爵の方はそろそろお帰りいただこうか。私の国で随分と好き方してる様だしね?」

「あら、随分と早いご決断ですわね?お父様?」

「ああ、少しは影達からの報告を受けてな?ヴァンスと相談したのだよ」


 フフフ、それは嬉しわ!それにあの様な無礼な方の顔は二度と見たく有りませんもの。


「それは嬉しいわ!私先日も言いましたが、人を利用しようと考えてる方とは、二度と会いたくありませんのよお父様?」

「分かっておるよ、全くどうやって結界を抜けられたのか不思議だよ。彼方の伯爵親子には、早々にお帰り願うよ。安心しなさい、但し気を付けるのだぞ?」

「ええ、気を付けますわ。グレンも居ますし、影さん達にも期待してますわ」

「了解だ。任せろパトリシア!」

「フフフ、ありがとうヴァンスお兄様」

「それは、それとして。シア、王子との夕食だったよな?」

「あ!そうでしたわ。殿下との夕食なのですが……。場所を思い付かなくて、従兄弟達に騒がれたくもないですし、余り仰々しくもしたくないのですが……」

「ふむ……なら、空き部屋を食堂に急遽変えるかい?」

「それでしたら一室作りますわ!場所は……」

「シア……なら、食堂の隣に作れば良いのでは?」

「食道の隣にもう一部屋ですか。成る程……お父様良いのかしら?」 

「……良くは無いが……仕方ないだろ?だが余り広くはするなよ」

「はい!分かってますわ。それなら、サクッと作って仕舞いますわね?」

「パトリシア……それは…」


 何かしら?ヴァンスお兄様が眉間に皺が寄ってるわよ?なにか変な事を言ったかしら?


「シア……今かからか?」

「ええ、今ですわ。料理長とも相談しないと」

「仕方ない……で、何時に呼ぶんだい?」

「ええっと……6時はどうでしょうか?」

「わかった。その時間にと、先触れを王子に出しておくよ」

「フフフ。ありがとうございます。殿下に約束を迫られてしまって、困ってましたので。サクッと面倒事は片付けたいので。お願いしますわ!では、私は食堂を造って…」

「ま、待て!パトリシア!せめてアレクと一緒に行ってくれ…」

「ええ?」


 それはそれで面倒ですわね。

 面倒だと言う顔をしたら怒られてしまった。


「パトリシア…面倒という顔をするなよ!お前 は、誰か付けないとやらかすからな!」

「ムッ!それって!」


 なんか釈然としませんわ!


「良いから、ほらシア!行くぞ」



 それから、食堂の隣にもう一部屋造る事に。


 食堂と同様に、観音開きの扉を付けて部屋の中は10畳程にする。

 テーブルは6人座りにして。

 装飾と、飾り棚とカーテンを設置。

 後は……、照明のシャンデリアぐらいかしら?

 飾り棚の中にはグラスと絵皿を飾る。


「完成ですわ。アレクお兄様」

「…………お、おう。しかし見事だな。相変わらずお前は……」


 と感心してるお兄様です。


「そうでもないですわよ。あ、料理長の所に行かないと!」


 パタパタと走り、比較的近い厨房まで小走りで料理長の元にアレクお兄様と向かう。


 フフフ。今夜のお夕食は、なににしましょうか?


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