第42話 バタバタと。
さて、ホールに残ったのは私とジーク殿下ですが……。
「殿下お待たせしましたわ。どうでしたか私が弾いた曲は?」
「うん!素敵な曲だったね。このピアノと言うのかい?これは、不思議な音だ」
「そうですわね。私も久しぶりに弾いたのですよ?これ中々指が動いてくれなくて……」
ピアノの鍵盤をドレミと鳴らす。
「そうなのかい?初めて聞いたからわからんが、綺麗な音だった。是非また聞かせてくれないか?」
「ええ、殿下のリクエストなら喜んで。フフフ」
「それは楽しみだね。ところで、パトリシア嬢。この後は、なにか予定があるのかい?」
「いえ、特には御座いませんわ。殿下、なにかご用でしょうか?」
「嫌、大した事ではないよ。私と一緒に夕食等如何かな?と、思ってね。とは言っても、私は客だからね。ここで食事をご馳走になる立場だが」
なんとも情けないが、どうだい?と言って誘ってくださいます。
謙虚さがちゃんあるのは良いことね?好感度は良いですわ。
あら、私偉そうね?フフフ
ですが……どうしましょうか?部屋にチビッ子達を待たせてるのよね?
エルサには、任せてあるのだけれど……。
それに場所がないのよ…城には未だ従兄弟達と伯父様が居るしね。
伯母様はお母様達の屋敷に、入り浸ってるらしいけれど。
「殿下はいつも、お泊まりのお部屋で御食事を取って、いらっしゃいますわよね?」
「あぁ、そうなのだが……」
「急な予定変更ですと、使用人達が困りますわ。ですので本日のお誘いは、申し訳ございません。お断りをさせて下さいませ。ですが……そうですわね?明日なら予定を変えられますわ。使用人にもそう伝えますし、場所を儲けますわ」
「そう……だね。そうして貰おうか?中々自分の家では、ないから不便だが……」
「そう言えば……ジーク殿下?」
「なんだい、パトリシア嬢」
「こちらは、いつまで滞在なさるのですか?」
「ああ、その話しか……ヴァンス殿には、伝えて有るのだが……彼から、聞いてないのかい?」
「ええ、何も伺って居りませんが……」
「……そうでしたか。それなら私から伝えない方が、良さそうですね?」
「そ、そうですか……分かりましたわ。なら伺いませんが……」
あんたから聞いた方が早いのよ?
もう……面倒だから早く帰国為さってくれないかしら?
「そんなことより、先程ここでダンスをしていた方達は?何方ですか。御紹介していただけ無かったので、挨拶も出来ませんでしたが……」
あ!忘れてましたが……?
あら変ね?殿下に御紹介してないけど、初日のパーティーで挨拶してないのかしらね?変な王子様よねぇ……。
「あの方達は、私が学園に通っていた頃の友人ですわ」
「そうでしたか……ご夫婦とも?」
「いえ、ご婦人の方がですわ、二人とも気の会う友人ですのよ?」
「そうでしたか。それは羨ましいですね?私は学園は自国の学園に通ってましたが」
「あら、それでしたら満喫なさったのでは?」
「まぁ……そうだね、それなりに…かな?」
それは……良いわね、私の方が羨ましいわ。
「………さ、さあ。ジーク様そろそろお戻りになった方が良いのでは?」
「ん?ああそうだった、執事と護衛を撒いて来たからね、フフフ」
「それでしたら、早く…………」
戻られた方がと言おうとしたら、誰ががホールに入って来て声を荒くして殿下に声が掛かる。
「見つけましたよ、殿下!」
「おや、見付かったか。パトリシア嬢、それではまたな?明日の夕食、楽しみにしているよ?あ!後、庭の散策もね」
と言って、そそくさと執事の元に戻りホールを後にして行かれた。
「な、なんだったのかしら?バタバタしてましたわね」
まぁ、良いわ。さて、私も部屋に戻りましょう。
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