第40話 ピアノ
そして、グレンがイリア達の旦那様をサロンへ連れ立って戻って来た。
「ごきげんよう、パトリシア様。どうやら妻達が、我が儘を言ったみだいだね?」
「あら、我が儘なんて言ってないわよ?マクシミリアン」
失礼ね!とイリアが怒るけど、私の前でイチャイチャしないで下さいませ?
「ごきげんよう。モリッシモ様、ノアリバーン様。急なお呼び立てを致しまして、申し訳ございません」
「いえ、構いませんよ?話し合いも丁度終わって居りましたからね。それで、ダンスがしたいと?伺いましたが」
「貴方ごめんなさいね?急に呼んでしまって。パトリシアが、運動不足な私達を心配してくれて、ダンスの練習をと誘ってくれたのだけれど……」
「そうなのよ、執事が騒いでしまってね。ルベルト達を呼んでくると、言い出したのよ。それでお二人に来て貰ったと、言う事になったのよ。ごめんなさいね?決して私達の我が儘では無いわよ」
「フフフ。それでお二方……私達のお願いはきいてくれますの?」
「そうだねぇ~。折角パトリシア様が、場所を提供してくれると仰ってくれてるのだからね?お願いしようかマリエール」
「良いのですか?」
「ああ、構わないよ」
「フフフ。ありがとう、イリアは?」
「私達もお願いするよ」
「あら、マクシミリアン良いの?」
「あぁ、実は私も少し運動不足でね?剣の稽古も今は出来ないしね」
どうやら、話は決まったのかしらね?
それならグレンに合図をして、ホールに向かいましょうか?
「それでは皆様、ホールへご案内しますので。私の後に続いて下さいませ。パトリシアお嬢様行きましょう」
そして、城のホールの中に皆で入る。
「ここが小ホールなの?パトリシア?」
「ええ、そうよ。狭いでしょ」
「狭くは無いわよ!広いわよ。私、もう少し狭い場所を想像してたのよ?」
「……それは、ごめんなさいね?さ、音楽は私がピアノを弾きますわ。どうぞ皆様曲に合わせて踊ってみて?」
「ピアノ……?なにかしらそれは」
「あの大きな黒い塊が、ピアノというのよ?さぁさぁ弾きますわよ」
私は、ピアノの前に座り鍵盤を弾いて音を出す。
(さてさて、ピアノを弾くのは随分久しぶりなのよね?ちゃんと弾けるかしら)
鍵盤に指を置いて「レ」の音を出す。
即席で作ったピアノだけど、……なんとかなるかしら?
パトリシアは、「レ」の音に続けてドレミ………と鍵盤を弾く。
(なんとか……大丈夫なようですね。それなら……)
「皆さん曲を弾きますわ、適当に踊ってみて下さいね?」
何を弾こうかと考えて、あ!あれなら良いのでは?と思い付いたのが……ロマンチックな曲の中でもパトリシアが、現世で好きだった曲。
あれなら、踊るのには良いかも?
弾くのは、ディ○○○の曲……あれが良いわ。
そして、パトリシアがピアノを弾き始める。
「な、何だか聞いたことがない曲ですわ?」
「でもなんだか、素敵な曲だわ」
「そうだね……。だが、これなら……奥さん一曲どうですか?」
「あら、フフフ。宜しくてよ?旦那様……」
パトリシアがピアノで曲を弾くと、4人がそれぞれに踊り出す。
よかったわ、これでストレス発散できるかしら?
それにしても楽しそうよねぇ~。私も踊りたいけれど……演奏者は私一人ですもの……無理ね?
パトリシアは二曲演奏したところで、一度演奏を止めてイリア達に話しかける。
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