第37話 社交辞令。

 今は、お付きが居ないからあれだけど…。

 絶対数に不敬だと言って怒られるわよ!


「いいから、はい!」


 昔の英語の先生に、Repeat after me?と言われてるみたいだわ。ううう!


「…………いいえ、言えませんわ」

「駄目だよ?ほら、ジークだ!」

「で、ですが……」

「ほら、君が言わないと、時間が無くなるよ?」

「で、でしたら………ジークフリード殿下とお呼びしても、宜しいでしょうか?」

「駄目だね……ジークだ!フフフ」


 お、面白がられてるわどうしましょう!

 と、言うか……遊ばれてるし。

 この方、何を今後えてるのかしら。


「では…………ジーク殿下と!これで宜しいでしょうか?」

「ん~仕方ないね!ならそれでいいよ。私も君の事はそうだな……パトリシア嬢と呼ばせて貰おう。『シア』と呼ばせて貰たいのだが……、それはアレク殿が怒りそうだしね?」

「フフ。それは、アレクお兄様の特権でしてよ?幼い頃からの私の呼び名ですわ。さあ、ジーク殿下。時間も御座いませんし、お庭ご案内しますわね。宜しければ、温室もご案内しますわ」


 なんだ、一回言うとあっさり照れもなく言えるものなのね?簡単ですわ!


「なに?温室もあるのかい。それは是非案内を頼みたい」


 東屋を出て殿下と一緒に庭を見て回る事に為ってしまったので庭を歩くのだけど…距離が近い。

 よ、近寄らないで下さい。

 二人で歩く途中で、庭師のベンがいたので少しお話しをする。

 それからまた庭を見て回る。

 花壇に咲く花々を眺めて一言…ベン花のお世話をありがとう。

 バラに紫陽花や……ビオラにバンジー、忘れな草にマーガレット。

 すみれに、アスター、矢車草、カンパニュラ、ストック、トルコ桔梗に、桔梗、ダリア、皇帝ダリア、ルピナス、それにカサブランカ他色々。

 まぁ~植えたい物を各ブロックで、区分けして植えたからなんとか為ってるのかしら。

 見映えも良いわね。(自我自賛!)

 でも、これは水やりもたいへんよね。

 唯…、本当に季節感がまったく無い。


 それに高い樹木もあるのよね。

 梅に桜に杏と桃に、リンゴに梨でしょ?

 後は……ああ、レモンに柑橘は…みかんだったかしら?

 少し…嫌……やり過ぎよね。アハハ。


 次々と庭の草木の説明をしながら殿下と歩く。

 少し……呆れてるかしら?と、チラリと殿下のお顔を見れば……なんだが目が輝いてるわね?

 ……何を考えてるのかしら?


「お庭の花等は、こんな感じですわ。次は温室ですが……殿下お疲れでは?」

「いや?楽しいね……。君は草花に詳しいのだね」

「え、ええ、少しだけですわ。それで、如何致しますか?また日を改めてご案内しましょうか?お庭だけで随分とお時間が……」

「え?そうなのかい……まったく苦痛なく聞いてたからね。……時間を余り感じなかったよ、君といると楽しいな実に良い時間だ。だが、そろそろ時間かい?ならまた後日、改めても良いかい。今度は、温室の方を案内を頼んでも良いかな?」

「ええ、私で宜しければ。後日また改めてご案内しますわね。ああ、そうですわ、温室の果物をお部屋にお届け致しますわね?メイドに申し付ければ、殿下のお口に入られるようにするでしょうから」

「そうかい?なら是非お願いしょう。楽しみだ」

「そ、それではサロンに戻りましょう?ジーク殿下」

「ああ、そうしょうか?パトリシア嬢」

「ええ、ジーク殿下」


 二人並んで庭を歩きサロンに戻った。


 一言言ってもいいかしら?

 社交辞令……って疲れるわ、何処に行っても……。


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