第35話 偶然?

 インブルグの息子がご立腹で東屋から出行ってしまったので。

 私一人で、のんびりそのまま残ってお茶をしてます。


「はぁ疲れたわ、グレン。あの方はいったい、何だったのかしら?」

「さぁ?矢継ぎ早に話して、勝手に思い込んで都合が悪くなったから、尻尾を巻いて逃げた?でしょうか。フフフ」

「あ、あらそれは……なきにしもあらず。ですわね。フフフ。お父様にご連絡して、お話しをしないと成らないわね?グレン」

「そうですね、早急にお話しをしないと成らないですね。しかし……あの者は、お嬢様を馬鹿にしてましたから……腹が立ちましたよ。私は!」

「フフフ。グレンありがとう。でも、怒ったら負けよね。ああいう方は、相手にすると図に乗るわよ?」

「そういうもの、でしょうか?」

「ええ、きっと神様も見てますわよ?フフフ」

「それは……恐いですね?お嬢様。フフフ」


 ええ、何せ私は聖女(笑)ですもの。

 まったく、バカバカしいですわね。


 グレンと笑いながら話しをしていると、何処からか私に声を掛ける方がいらした。

 マップを咄嗟に開いて確認すれば他国の王子様でしたか…またなにをふらふらしてるのやら。

 ここは貴方からすれば他国のですわよ?


「おや?これは……パトリシア様では、ありませんか。こんな場所で、お一人でお茶ですか?」


 白々しく声を掛けてくるのね?

 なんか物影から見られてたのでは?と疑いたくなる。

 そして、私も白々しく挨拶をする。


「あ、あら、これは…ジークフリード王子様。御機嫌麗しく」


 わざと驚く振りをしつつカーテシーをして挨拶をする。


「ハハハ。そう堅苦しい挨拶は、抜きでお願いしたいな。それで、お一人ですか?それとも、何方かとお待ち合わせでしょうか?随分とお綺麗なお姿ですが?」

「い、いえ。特には」

「そう……ですか?でしたらここで御一緒しても?」

「ええ、どうぞ。東屋でも宜しいでしょうか?」

「構わないよ?それに私も一人だと気が滅入るしね」


 そう言って、私の対面の席に腰を下ろす。


「ジークフリード王子様、お茶はお飲みになられますかしら?」

「ああ、是非。喉も乾いてるしね?」

「あ……っ!ですが……」


 進めたのは良いのだけれど……毒味役が居るわよね?毒なんて入れないけれど。

 でも…あれって結構失礼よね……?うちで出す物は安全よ!


「毒味なら要らないだろ?君が、私に出すお茶なのだからね?」

「信頼していただけるのは……ありがたいですが」


 後で大事に成っても知りませんわよ?


「どうした、気にしなくて良いぞ?」

「でしたら、御用意しますわね。グレンお願い」

「畏まりました。少々お待ち下さいませ」

「それで、どうしてこんな場所でお一人なんですか?」


 ニッコリ笑って、未だ…聞いてくるのね?

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