第31話 お見合いとか……勘弁してくださいませ!

 私は何も知らされてないのよ?ちゃんと教えてくださいなお父様!

 と、訴えたら笑われたわ。

 ……なんか解せぬ!


「そ、それは済まんな?ハハハ。なら、情報は後で届けるよそれで良いかね。パトリシア」

「ええ、それでお願いしますわ。それとイリア達にお会いできないかしら?」

「それだったら、向こうからの先触れが届いていたな?」

「お父様、それを先に言って下さいませ!」

「ハハハ。すまんな?言われるまで忘れてたんだ。何せこの料理が旨くてな」


 なにを呑気に……、ま、まぁお料理を誉めてくれたから?許してあげるけれど。


「それで、イリア達は、なんと言ってるのですか」

「ああ、向こうが明日の夜に夕食をと、言って来たぞ?どうする?」

「明日の……夜ですの」


 明日の夜は……気持ち的にゆっくりしたいわねぇ~。


「ああ、どうする。パトリシア」

「それは無理でしょう、父上。シアは明日の夕方に例の貴族と会うのでしょう?そしてまた、夕食に人と会うのは疲れますよ。いくら友人とはいえ……」

「そうですわね…それは、ちょっとご遠慮したいですわ。でしたら、イリア達とは明後日の昼にとお返事したいわ」

「そうか?なら、それで返事をしておくよ」

「お願いしますわお父様」



 そして次の日の昼過ぎ。

 私は、伯爵家の息子とのお見合いのための支度を始める。

 エルサに支度を手伝って貰うのですが……。


「お嬢様、お支度をしましょう。さっ、湯浴みをお願いします」

「ええ、ですが……。湯浴みをするのは、何故かしら……?」

「なにを仰いますか!前の王子様の時と変わらないですよ。それに、午前中にお嬢様は…体を動かしてらしたでしょ?」

「そうだけど……クリーンでよくないかしら」

「それは、それです!早く湯浴みをしてくださいませ。私はドレスを用意して参りますから!」

「さぁお嬢様、湯殿に行きますわよ?」


 他のメイド達に湯殿へ連て行かれて……諦める。


「わ、分かったわ……」


 そして、ぐったりして湯殿を出ると、ドライを掛けて濡れた体と髪を乾かす。


「さぁお嬢様!お支度をしますわよ?」


 エルサが気合を入れてドレスを出してきた。

 そのドレス着る為に、コルセットを付けられウエストをきつく絞められる。


「え、エルサさん!そんなに絞めなくても、いいのでは?ぐっ……」

「なにを言ってますか。お嬢様、このドレスはウエストが細いと、かわいいラインになるのです。我慢してください!」

「い、嫌よ!エルサ。パーティーに出る訳でも……ないのだから、そんなにしなくても……。ウグ!」

「はい!できました。それでは、ドレスをお召しになって下さい。後はお髪とお飾りですわ」


 そう言って、エルサがニコリと笑う。

 な、なんなのかしら、前の王子様に会う為に支度した時より、気合いが入ってる気がするのですが……。


「フフフ。伯爵の息子とお会いするのです。ベルガモット家の、財力を見て頂かないと!」


 そ、それはそれで相手が引くと思うけれど……。

 って言うか…パーティーでは無くてよエルサ?

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