第21話 ド直球!

 隣国の王子が、私に微笑みますが……。

 けれど、ちゃんとお話しを聞きたいわ。

 私は何も知らないもの。

 嫌な予感はびんびんしてますが。

 だって、間者を先に潜り込ませてるよの?文の内容は知りませんが、王子の言葉の一つを取っても信じられないわ。


「あ、あの……皆様だけで、お話しがお分かりに為ってる様ですが?私にはなんの事やら?さっぱりですわ。ちゃんと、お話しをしてくださいませ?」


 なんとなく察しては、居ますが………ちゃんと確認ですわよね?


「ああ、済まない。パトリシアお前も、この文を読むと良いぞ?」

「いいのですか?」 

「ああ、別に支障は無いぞ?」


 文を目の前に差し出されて、お父様に確認してから受け取り。文を広げて内容を読んで行きます。


「……………黙読中…………お父様。これお返ししますわ。お見せ頂き、ありがとうございます」

「ああ」

「それで?」

「それで………ですか?ジークフリード王子様が、いらっしゃるのに今ですの?お父様」

「私なら構わないよ?それに未だ時間はあるしね?」

「はぁ私と王子様との、お付き合いですか?」

「ああ、そうだよ?」


 なんだかニコニコしてますが……お会いしたことありましたか?


「あの、お聞きしても宜しですか?」

「ええ、どうぞ。なにかな?パトリシア様」

「あ、あの何処かでお会いした事が、ございましたか?王子様とお会いするのは、初めてだと思うのですが……?」

「そうですね?パトリシア様は、そうだと思いますよ?私もこうして貴女とお話しをさせて頂くのは、初めてですからね?」

「はぁ?ではどこかで?パトリシアを見掛けたのですか?」

「ええ、アデス殿そうなのです。あれは……8年前の事です。リシュタール国の王城でのデビュタントパーティーで、偶々私は父上に連れられてあの会場に居たのだよ!」

「そこで?パトリシアを見たと?」

「ああ、当時はあの国の第三王子の婚約者だと聞た時は、落胆しました。が、先日婚約を解消したと聞きき直ぐに、父上に了承して貰い。ここに来た!パトリシア様!君は私の初恋の相手なのだ!」


 お父様達がいらっしゃるのに……堂々といい放ったわね……。


「は、はぁ………。そう言われましても……直ぐにお返事はできませんわ」

「まあ、それは百も承知の上で申し込んでる。どうだろうか?考えてはくれまいか?」


 お父様達がいる前で!ど、直球に来ましたわ……!ど、どうしましょう!


 本当にそう、どうしましょうなのですが……。

 本当に信用出来ない私です。

 だって、ベルガモットに間者を送り込んでる国の王子ですわよ?

 その時点で怪しいわよね?


 二度言いますが!全く信用出来ない。


 御断りよね?


 それに、何がしたいのか…探ってみるのも一興かしらフフフ。

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