第20話 他国の王子。

「パトリシア……おい!パトリシア」

「あ!はい?なんですの?お父様」

「どうしたボーッとしてた様だが?大丈夫かい?」

「ええ、お父様。大丈夫ですわ?それでなんでしょうか?」

「ああ、この後直ぐにクロノスとライアンがここに来る。お前はどうする?」

「あの、お二人ですか……」

「そうだ。あの二人にも働いて貰わないとな。自分達の領地から、僅かだが騎士達を連れてきているからな?纏めて貰わんと」

「そうですのね?でしたら、私は此で失礼しますわ。お父様明日のお昼に、此方へ来れば宜しいかしら?」

「そうだな…では、食堂で昼を一緒にしてから移動するのはどうだ?向こうと話しをするのは、貴賓室にしてあるからな」

「分かりましたわ。では、お昼前に食堂に伺いますわね?では、お父様達失礼をしますわね?」


 それだけ言って部屋を後にすると、自分の部屋に戻り屋敷の中庭でルクス達と、のんびりして1日が過ぎた。


 そして、次の日の昼にお父様達とお約束した食堂で二人で昼食を取ります。


 食事が終わるとルドルフ宰相と、合流して三人で貴賓室に向かいます。

 そして、ヤルス国の王子ジークフリード様を、部屋でお待ちします。

 暫く待っていると、ご本人が執事と護衛を連れて部屋にやって来ました。


「ごきげんよう。ジークフリード・ナルス・ヤルス王子殿」

「ごきげんよう。アデス・ベルガモット殿。それにアパトリシア・ベルガモット嬢。それに……其方は?」

「ああ、申し訳ない紹介しょう、宰相のルドルフ・チェンバースだ」

「初めまして。私はルドルフ・チェンバースと申します。以後お見知り置きを」

「そう?なら宜しくお願いするよ。さて、本題だね。アデス殿、今日は時間を儲けて貰い感謝するよ」

「いえ、此方そこ。さ!どうぞお座りください」


 着席を進めて、私達も王子が座るとそれに習うように座る。


「それで?早速のだがな、これが父上からのゲイルズ・ナルス・ヤルス国王からの文になる。中を改めてくれ」

「それでは失礼を…………………。ふぅ。おっと、これは失礼を」

「嫌、構わんよ?それで……?」

「これは、少し考える時間を頂きたいのですが?宜しいですか?」

「ああ、構わないよ?私もそのつもりだしね?私は聞いてると思うが。身分としては王子だが、……第5王子だ。王位継承権は殆ど無いに等しいからね?考えてくれると助かるし、父上にも良い土産になる」

「………まぁ、そうですかね?それで私達が返事をすると、一度ご帰国されるのですよね?」

「そうだな、そうなる。此方での返事も知らせないと、ならないからな」

「そうですか……。お申し出の国交の案件は此方としても、是非お願いしたい。と考えております。私共もヤナル国とは良い関係を、築き上げたいと願いますが…」

「そうか?なら、お互いの国の交易する物は後日改めるとして。もう一つは?」

「此方の話は、本人に確認してください。それと、此方からも一つ確認をさせて頂きますが?」

「なんだい?」

「この文に記してありますが……。本当に、宜しいのですか?」

「ああ、構わない。先程も言ったが、私は第5王子だ。王位なんて要らないしな?それに……実に良い提案だ!私としては是非、お願いしたい」


 そう言って私を見て微笑む。

 ああ、なんとなく文の内容が少し分かった気が……。

 さて、困りました、どうしましょうかしら?

 でも、御断りしたいわね。

 この方私のタイプではなくてよ?フフフ。


 嫌な予感しかないもの。

 お兄様達にも相談かしらね?


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