第12話 警戒。
お兄様達が、お名前しか聞き覚えが無いと仰っている貴族が私達の元にやって来ました。
さて、どんな方なのでしょうか?
「(ま、シアの結界を通れたのですから。そんなに警戒をしなくても、良いとは思いますが。気を付けた方が良いですね?)」
「(あぁ、そうだね)」
こそこそと、お父様とお兄様が小さな声でお話をされてます。
ですが私は不安ですわ……人の鑑定はその場しのぎもなんとなく出来そうなのよね?
そして、その貴族が私達にご挨拶をしてきました。
「お久しぶりでございますな、ガウル・ベルガモット殿……。いえ、公王様とお呼びすれば良いのですかな?私は、エルダイン・インブルグと申す者です。挨拶するのは初めてですな?隣に居るのは私の息子で……」
エルダインの言葉に、お兄様が少し反応しましたが……ここは動かずと、お考えになったようですわ。
「はじめまして私は、エンバル・インブルグと申します。以後お見知りおきを」
「あぁ、宜しく。我が領地へよく来られた。道中大変ではなかったですか?」
「いえ、それ程でも。自分の領地を出てここに来る途中までは、多くの魔物に襲われましたが。不思議な事に?ここに近付くに連れ、魔物にも出会うことは殆んどなく、快適と言いませんが、楽に進んで来れましたよ。何せ今は、リシュタール国内は魔物が蔓延り、各領地は大変ですからね。それに比べて、このベルガモット家の領地の呑気なこと。フフフ。本当に……聖女の守りでも、あるのかと疑いたくなりますね?」
「ち、父上!口が過ぎますよ?」
「おや、これは失礼を」
聖女ですか……?そんなものはここには居りませんわよ?フフフ。リシュタール国内はそんなことになっているのね?あ!だからイリア達がここに?
まあ、後でお話を聞きましょう?今はこの方ですわね?
「そうでしたか、それは大変でしたね。詳しいことは、後程伺いましょう。ですが、私共の領地は危険は無いのでご安心を。どうぞ今宵は、楽しんで行れて頂きたい。手配した部屋に何かご不便があれば、館の使用人に申し付ければ対応するよう、伝えてありますから」
「ハハハ、それでは。今宵は楽しませて貰いましょう。しかし……実に豪華なパーティーだ!」
「本当ですね、父上。今日は楽しませて貰いましょう。それで、そちらがパトリシア様ですか?」
え!……なぜ、私なのかしら?
でも、挨拶はしないと……。
「初めまして。インブルグ様。私がパトリシア・ベルガモットですわ」
「なんと、美しい方だ。王都でのパーティーには、一切お顔をお出しにならないので。……どんな方かと思って居たのですが……。宜しければ後程お話を?」
「ええ…」
「ゴホン。インブルグ殿、今宵はご遠慮頂きたい。また後程話す場を設けよう」
「あぁ、これは……申し訳ないですな?息子がご令嬢に失礼を。では、私共はこれで」
それだけ言って、壇上から下りて行ってくれた。
なんだったのでしょうか?
印象は……良いのか悪いのか全く分かりません。
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