第11話 お招きするお客様達。

 お父様が執事のクレオに目配せをすると。

 クレオがお父様に頷き声を発した。


「さあ、皆様パーティーのはじまりです」


 クレオの一声で、パーティー会場の扉がゆっくりと開く。

 扉の前で待っていたのは、お招きした貴族の方達。その方達が次々と、執事の案内でにホールに入ってくる。


 会場の上手で私達家族に、叔父様達に伯父…(ややこしい)で一段高い壇上に立ち会場に入ってくる貴族を眺める。

 途中に、イリアとマリエールが見えたので少しだけ、小さく手を振ります。

 そして、粗方ホールに人が集まるとお父様が舞台の中央に立ち一歩前に出ると、お客様の皆様に向けて歓迎の挨拶を始めます。


 手に持つグラスが若干揺れてますわ。

 緊張為さってますか、お父様頑張って下さい。


「本日は、我がベルガモット領地にお越し下さりありがとうございます。そして皆様に一言ご挨拶を申し上げます。我が領地まで遠路遥々、長い道のりをご苦労されて、此方へ来られたと思います。ご到着されてお疲れの所に、この様なパーティー等と、思われる方も多いとは思います。ですが、私共の領地に到着されて早々に、堅苦しい話しをするのも気が引けました。今夜は皆さんの歓迎と、長旅でのご苦労を労い。堅苦しい話しは抜きにして、皆様にはリラックスして頂き。楽しく食事をして頂きたいと考え、我が領地の料理と飲み物を御用意致しました。是非今夜は料理をご堪能されて、楽しんで頂きたい。それでは、皆様……乾杯!」

「「「「「「乾杯!」」」」」」


 お父様のご挨拶でパーティーが始まりました。


 ガヤガヤと、皆が思う様に話し動き話し始めます。

 私はどうしましょうか?イリアと、マリエールとは話したいわね?


「パトリシア、そわそわしてるが。未だ、動くなよ?動くなら、私とアレクと一緒にだ」

「分かりましたわ」

「……シア……お前」

「パトリシアほら、お客様のお出ましだ。笑ってろよ?」


 ヴァンスお兄様がほらと、壇上に上がってくる貴族を目線で教えてくれました。


「わ、分かりましたわ。スマイルですわね?」


 最初にご挨拶に私達の所に来たのは、元ヴァンスお兄様の部下のダルト・チェンバース様とご子息のダルト様の様ですわ。


「ガウル様、お久し振りでございます」

「あぁ、ルドルフ伯爵殿か、久しいな?変わりはないようで安心したが……今回はどうしてここに?それに、ダルトも久しいな?」

「えぇ、お久し振りですね?しかし、ここに来るまで苦労しましたが。……このようなパーティーを開いて頂き、有り難うございます」


 ………これは嫌味?それとも本心かしら?


「いや、急場凌ぎで申し訳ないがね?今宵はゆっくりと、楽しんでくれ。話しは明日以降に場を設けるよ」

「それは、有り難うございます。良い話が出来ると、期待して居ります。では、また後程」

「ガウル様。また後で話を?」

「あぁ場を設ける故、その時はぜひ」


 そうして、ルドルフ親子が壇上を降りて、食べ物が乗るテーブルに戻って行く。


「父上……。伯爵殿は親子で、なをしに来たのでしょうね?」

「まあ、そうだが。ほら、次だぞ?アレク」

「父上あれは何方でしょう?リシュタールに居た頃は、お見掛けしたことは確かない筈ですが…?」

「いや、私は顔を見たことがあるぞ?」

「ああ挨拶程度は、しているな?」

 アレクお兄様が、知らないと言った貴族…でしたが。

 お父様とヴァンスお兄様は、お顔を御存じのようで教えてくれましたわ。


「父上、兄上…そうでしたか?」

「あぁ、確か彼は……インブルグ伯爵だな」

「だが…余り良い噂は聞かないぞ?」

「コソ (シアお前、門の結界を強化したんだろ?)」

「コソ (してありますが……ここでは)」


 お父様…今は駄目ですその話しは!


「そうでしたか…、お顔を拝見するのは初めてです。大変楽しみですね?」


 アレクお兄様!お顔!お顔が恐いから!

 その笑い方は止めまさんか?


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