第5話 アレク苛つく!

 あ~ぁ行っちゃったよと、ルシスがぶつぶつ呟いて不貞腐れる。


「ルシス!追い掛けて行くなよ!はしたない」

「ええ~だって、面白そうじゃない?あのお姉さん……フフフ」


 なんだこの餓鬼はと、アレクは思う。

 これは……厄介な家族が来たな?この双子の片割れは俺も面識ない……。

 なので初見なのだが……この物怖じしない態度は戴けない。


「ライアン……その弟は、パトリシアに今後近付けないように、お願いしたいのだが?あと、パトリシアを睨むのは、お門違いだからな?わざわざ人の屋敷に一家で乗り込で来て騒ぐなよ?」

「そ、そんなつもりはありませんよ……?(しまった世話になるのは此方だったか……)」

「そうか、なら頼む。その内にお前達の屋敷が完成するだろ?それまでは、大人しくしていてくれ。仕事に差し支える。お前達子供は邪魔だ」


 問題は起こすなよと、釘を刺すが果たしてこのバカそうな餓鬼達には、通じるのか?


「そんなつもりはない!騒がないようにはするが……。こいつは目を離すと、何処に行くのか分からないんだ」

「それは……此方の知らないことだ。伯父上に厳しく言って貰いたい。それにパトリシアを睨んだのは何故か、聞いても良いか?」

「そ、それは……弟を勝手に連れ出してると勘違いしたんだ。(嘘だが……俺達が移動したのは。あの女の所為だと思ったら、とっさに睨んでしまった)」

「は~ぁ?連れ出した?何処を見てそう思った?シアは、一人で先に食堂から出たろ?見なかったのか?」

「そ、そうだった。す、すまん、アレク兄上……」

「ま、今後シアは、お前達を警戒するだろうな?あれで中々警戒心が強いし、勘もいい。それに人見知りだ。俺からすれば丁度いい。今後シアにはお前達兄弟は、近付かないでくれよ」

「………なにそれ?何であんたが偉そうなんだ?」


 は~ぁ?馬鹿なのかこいつは!と眉間にシワが寄る。


「お、お前また目上の人に失礼だ。わ、分かった。クロノスにも話しておくし、こいつにも良く言い聞かせる」

「そうしてくれ。ここはお前達の城では無いぞ?勝手に色々とされても困る」

「すまん(あ~窮屈だ……自由に動けないとは)分かってる」


(ねえねえ、ライン兄?)

(なんだ?)

(この人怖いよ?)

(当たり前だろ?王国の魔法騎士団の副隊長だった人だ!)

(ええ、そんなに偉いの?)

(あぁ、だから余り勝手な事をするなよ?)

(……えぇ~どうしょっかなぁ~!(あのお姉さん、面白そうなんだよね?美人だし))

(お前……殺されたいのか!)

(え、そんなにヤバイの?)


 こそこそと、なにを話してるんだ?イラつく!


「コホン!良いかな?」

「あ、すまない。それでは俺達は部屋に戻るよ?」

「そうか?ならメイドに案内をさせる。付いてこい。アイザック!メイドに言って、この従兄弟達を部屋へご案内して差し上げろ」

「畏まりました。アレク様は?」

「構わんよ?早くメイドを探してきてくれ。俺達はリビングで待つ」

「………畏まりました」




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