第25話 警備騎士団 2

 はぁ~と溜め息一つ溢して口を開く。


「お兄様……居ましたわよ?」

「ふぅ……そうか。見せてくれ」

「はい、この方と。この人と、ここの人ですわね。一人は(他国の患者ですわ)」

 と、他国のと言う言葉は耳元で小さく囁いた。

「か、(間者だと!)」

「あ、あの……アレク様、パトリシアお嬢様…一体何が?私にも詳しく話を」

「ああ、済まないな。騎士名簿をシアが見ていたのは…騎士達の素性を洗った迄だよ」

「はぁ?素性ですか。それでしたら、先代の領主様と今の領主様の、書類の選考で決めたはずでは?」

「そうだかな……どうも査定が甘かったようだぞ?失礼だが隊長は、騎士団に入った時には水晶で身元は見られたか?」

「い、いえ、当時はそのような事はせずに選んで居られたようですね?水晶が、取り入れられたのはお嬢様がお戻りに、為ってからですから最近の話です」

「そう。今の騎士達で一番経歴が浅いのは?」

「すみません少しリストを見ても?」

「ええどうぞ」

「それでは失礼します」

「あ!分かるように…いえ、指でさして下さい」

「は、はい。では……。ああこの、男はお嬢様が戻って来て直ぐに来たです。それからこの者は二年前、後の一人は三年前からですね。この者たちがどうかしましたか?」


 どうかしましたか?ですか……隊長も気づかないのね。

 まあ、そうでしょうね…隊長達の目を盗んでるのですもの。

 ただ気になるのは他国の患者よね?


「ああ、この者達は………」

「お兄様……少しお待ちに…」

「どうした?」

「しっ!」


 人差し指で唇を押さえて黙ってと、無言で伝える。隊長にも目を向けると二人は分かったようでうんと頷いてくれたわ。


 分かってくれてよかったわ。


 そして、筆談に切り替える為にペンとノートを出して筆談を始めた。


(パトリシアどうした?)

(部屋の外に誰かいます)

(うちの騎士ですよね?)

(多分ですわね。なら、結界と遮音の魔法をこの場に張りますから、少しお待ちに為ってください)

(シア助かる)

(いえ?大丈夫ですわ)

「パチン」と指を鳴らして結界をこの部屋に張り巡らせた。

 そして遮音は強化させて張ったわよ!

 全く面倒なんだから。


「はい!これでお声を出されても、大丈夫ですわよ」

「シア有り難う。全くどいつだ!」

「まあ、お兄様。大きなお声を出さないで下さいませ?」

「悪かった」

「そ、それでお二方……一体どういう事でしょうか?私にはさっぱりですが」

「先ず最初に、外でこの部屋の様子を伺ってるのは、他国の間者の方ですわ!」


 リストの名前に指をさして隊長に教える。


「そして、この方と、この方は門に入れない者から、多分ですが袖の下を受け取って、門を通してますわね?」

「ですが、どうやって?」

「多分、騎士専用の扉のがある筈よね?そこからだと思うわ。当人達に聞かないと、何ともハッキリとは分からないですが」

「はあ……そうでしたか?」

「あら、隊長そんなに悔やむことはないわよ?」


 ちゃんと方は付けるものフフフ。



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