第18話 蚊帳の外。

 玩具を叔父に渡すと、マジマジと見てるわね。

 なら、その隙にチャッチャッと話しを進めましょう。埒が明かないしっ!


「なら、これでお兄様と二人で行きますわ。時間は、そうですわね…。明日の夜8時頃が良いかしら?」

「ほぅ、人目には余り目につかない時間だが…。むぅ……ならば、影の護衛を付けるぞ!」

「それは…お好きに?でも、私達はこれで飛びますが?宜しくて?それに門は、2ヶ所有りますわよね?確か西門と東門でしたか?」

「ああ、そうだ。どっちにしろ距離はあるが」

「一晩で行けるのかい?」

「そうですわね……まぁ、そんなに時間は掛からないですわ!叔父様」


 あら、玩具はもう良いのかしら?


「そうか、私もこれに乗っていきたいが」


 ま、また、何を言いますか?やめてください面倒だから。


「ハンスそれは、今回は駄目だな」

「まっ、そうでしょうね?分かってますよ?兄上。パトリシアなら、頼むよ?」


 叔父様が頼むよと言って、キックボードを返してくれましたわ。

 良かった欲しいと、言われても困りますから。


「ええ、お任せ下さいませ。それから、その後の話しを続けませんか?」

「そうだな、時間が勿体ないか……」

「後は…そう門を、抜けて来た貴族達のもてなしは?どうするかだ!」

「その話しは、母様や叔母様も交えませんか?」

「それは?」

「だって、御料理の説明をお客様に問われて、側にメイドがいれば答えられなくても、メイドがフォローしますけど。ねぇ……それでは、お母様や叔母様の、プライドも許さないのでは?」

「フ、フォロー?プ、プライ、プライド?パトリシアそれは?」

「あっ!ええとぉ……メイドの助けと、お母様や叔母様の…自尊心ですわね?それが傷つきませんか?」

「そ、そうか……それもそうか。よし!クレオ、ポール。マリーンとグレースをここに、呼んでくれ」

「「畏まりました」お待ちください」


 執事二人が返事をすると部屋から出て行った。

 母達を待つ間、グレンが出したお茶を飲む。


「ふぅ、残念。折角のお茶が覚めてるわ…」


 私の言葉に反応したお父様……グレンの入れるお茶を誉め出した。

 お父様止めたげて?グレン照れてるわよ?彼処で……。


「そうだね…。グレンのお茶は旨いからな」

「アイザックも旨い茶を出しますよ?」


 で、なんでお兄様も乗るの?ここで、違う話しをしてくださいな!

 なんでそこで張り合う?アレクお兄様?

 後ろには、執事達が控えてるのよ?


「それを言うなら、我が家のポールだって!」

「私の、マルスだってお茶は旨いです」


 なんの話しをしだすのかしら?

 執事の自慢て……。

 でも、私の執事が一番よね?フフフ。

 絶対にここでは言わないけど。


 なんだか各々の執事の自慢話しが、始まりましたわね?

 私は蚊帳の外に出たほうが良さそう。


「グレン?お茶の、おかわり頂戴」

「フフフ。畏まりました」


 するとすぐに、グレンがお茶の準備を始めると執事の事で言い争う声が止まったわ。

 面白い……。


「あら、皆様どうさまれましたの?各々の執事自慢は、終わりまして?あ、ありがとうグレン…あぁ、美味しいわ」

「ありがとうございますお嬢様。…皆様私のお茶で宜しければ、お代わりは如何でしょうか?」


 にこりと笑うグレン……こ、怖い。

 普段クールだから笑うと怖いのよ……その笑顔。

 まさに氷の美男かしらね、例えるなら。


「お、おう、貰おうかな。グレン悪いが全員に出してくれ」

「畏まりました。ですがアイザックや、マルスにあぁ、ポール様のお茶の方が………」

「嫌、良いお前がいれてくれ」

「承知致しました。では、お待ち下さいませ。フフフ」

(お、おい!シア)

「あぁ、グレンの入れたお茶…美味しい。(なんですの?お兄様)」

(なんで、グレンが怒ってるんだ!)

(知りませんわよ?本人に聞いて下さいませ)

「お待たせしました。アレク様、おや私がどうか?」

「い、嫌何でもない。グレンお茶ありがとう」


 フフフお兄様、なぜかグレンは苦手ですものね?


「あら、呼ばれてると伺って見れば……お茶会ですかしら?ねぇ、グレース」

「ええ、その様ですわ。貴方、狡ですわよ!」


 お母様達のご登場ですわね。

 お待ちしてましたわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る