第15話 穏便に事を運ばないとね?

 そんな事とかと言って、ほっとするアレクお兄様ですが。

 お兄様貴方、先程屋敷が云々と言ってませんでしたか?


「ええ!アレクオニイサマ。お兄様も、少しは働いてくださいませ?」

「お、お前。私はちゃんと仕事をしてるぞ!」

「ほほう。そうでしたか?それは失礼をしましたわ?それならご自分のお屋敷は、御自分で頑張ってくださいね?」クスリ。

「し、シアそれは……」

「なんですの?お仕事してらっしゃるのでしょ?心許ないのでしたら、魔物狩りをアイザックや、三番隊の皆様となされば良いでしょ?」

「う!それはそうだね。シア……だが」


 ふん!考えが甘いわよ?お兄様!


「それと!お父様と叔父様が迎賓館と倉庫に、厩舎と湯殿でしたか?」


 父達の顔をじっと見ながら確認する。


「あ、ああ……そうだが……?」

「でしたら、私においくらお支払って頂けるのかしら?」

「ん?それはちゃんと考えてるぞ、パトリシア」

「あら、そうでしたのね?それなら安心しましたわ。ですが……倉庫に湯殿は、諦めてください」

「おや?それはなぜ?」

「迎賓館の修繕だけで、十分では無いかしら。それに見栄を張ると、お母様達が怖いわよ?フフフ」

「そ、そうか?なら、職人達を手配して…迎賓館の修繕をして貰うか…」

「フフフ、そうですね?兄上。パトリシアがそう言うのなら…湯殿は諦めましょう」

「ええ、お父様、叔父様。私に払う費用が有るのなら…ぜひ、迎賓館の修繕に充ててください。その費用があるなら、職人達にも還元しませんと…。私が職人達の仕事を取って仕舞うと、反感を買うことになりますわよ?」

「おお、そうだったな。それがあった……か」

「そうですわよ?幸い……あのバカ王子の両親から頂いた、白金貨150枚は、私の物ですわよね?なら、それを充てません事?」


 あんな泡銭……要りませんわ!


「あ、あれは、お前に渡す金ではないか。それは、いかん!」

「あら、それなら…尚更私の好きにして、構わないですわよねお父様?」

「そ、そうか?お前は要らんのか?」


 なんかシュンって、してしまったわ……これは少しは貰うのが良いのかしら?

 でも、でもねぇ…あんなお金要らないわよ?


「お父様、全額とは言いませんが。迎賓館の整備を、あのお金で職人に頼みませんか?それに余ったお金で土地の整備いえ、……先に魔物の討伐が出来ますわよ?」

「そうだったな。じいさんからせしめた、土地も残ってたな。ハンス……パトリシアの意見はどうだろうか?」

「そうですねぇ……。パトリシア……君なにか考えが有るのかな?」


 あ、あら、分かってしまったのかしら?

 叔父様敏いわ……。

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