第5話 お約束よ?

「シア、お前……またか?我が家は動物保護区では無いぞ?」

「そ、そんなことは知ってますわよ……お兄様」


 ああ、頭が痛い……。

 思わず顳顬を指で揉みます。


「おねさま!あれ、さわりたい」


 猫と兎に……指をさして触りたいと、言い出す兄弟ですが………。

 あれは……色々駄目な気がしますわ。

 そう……色々です。


「えっと……シュバルツ……あの子達は触れないわ」

「なんでですか?お姉様!触りたいです」

「駄目だぞ、マクレイン、シュバルツお前達の手が汚れるだろ。なぁシア?」

「そうよ?バッチいから、メッですわよ!」


 すると、今度はリズが何か文句を言ってるわね…………面倒だわ……。


《にゃ!にゃにゃにゃゃ!にゃーゃ!》


 たぶん、汚くなんてないよ?とでも言ってるのかしら?

 でもねリズ……君もバッチイわよ?


「り、リズ落ち着いてね?ほら綺麗にしてあげるからほら、クリーン!」

「にゃ、にゃ~ん。にゃ!」


《綺麗になったよって!リズが言ってるよ》


「あら、ルト!来てくれたの?ありがとう」


《べつに、いいけどさっ!》


「そう?なんだが御機嫌斜めね?」


《ボクは、おやつ食べてたの!主が呼ぶからカイに、おやつ全部食べられちゃったよ!》


(それはごめんね?だけど……ルト?お約束破ったわね?)


《し、知らないよ!リズが見つけたんだよ!》


(でも駄目だと言って、教えられたでしょ?)


《難しくて分からないよ!》


 横を向いて、不貞腐れる仕草をするルト……。

 これは……此方が折れた方が早く話しが進みそうね?


(……そうね?分かったわ。ごめんねルト?ほら不貞腐れないで?おやつ、また出してあげるから?)

《し、仕方ないな!主がそういうならいいけど……!》


 チョロ……いわね?ルト。


「さて、リズ……この子達をどうしたいのかしらね?」

「にゃ~!にゃにゃにゃにゃにゃ!にゃ!」

「な、なに?」全く分からないですわ。

「ルト、なんといってるのかしら?リズは」

《え?弟と妹だって!》


 やっぱりそうきましたか…………。


「お兄様……」

「なんだ?」

「また……増えますわ!」

「は?」

「リズの弟と妹だそうですわ……」

「……………」


 あら?ノーコメントですの?なにか言って下さいな?お兄様!


「仕方ない……これだけ広い土地に住んでるからな、動物の1匹や2匹増えても支障は無いが……。これ以上は増やすなよ?シア、お前が面度見れなくなるぞ?」

「分かってるのですが……ルト達に言い聞かせても、中々伝わらないのか?無視してるのか分からないのですわ」


《分かってるもん!主、失礼だ!》


(そうなの?ならもう連れて来ないでね?分かったかな?)


 ルトを抱き上げて約束する。


《………分かったよ!》

(フフフ。良い子ね)

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