第3話 ご機嫌斜めは、なぜかしら?

「あ!パトリシアおねえさまだ!」

「お姉さま、ごきげんよう!」

「あら?ごきげんよう?シュバルツにマクレイン!」


 シュバルツが、私をめがけて突進してきます。

 それを椅子に座ったままで、受け止めたから少し鳩尾に……うっ!痛い。

 さ、流石に子供のタックルは……容赦が無いわね……本当にワンパクだこと。


「お姉様……こんにちは」


 とマクレインが挨拶をしますが……シュバルツより遅れて来ましたわ。いつもでしたら、二人で争う様に私に挨拶をしてくるのですが……どうしたのかしら………?


「ごきげんよう。マクレイン、どうしましたの?」

「いえ、別に!」


 ず、随分と御機嫌斜めね?


「おねえさま僕も!こんにちは!」


 シュバルツを抱え直して……御挨拶です。


「ごきげんよう。シュバルツ」


 それにしても……随分とマクレインはテンション低いですわね?

 でも、シュバルツは変わらないわね。


「グレン!マクレイン達に、飲み物となにか摘まむ物を」

「畏まりました」

「ほら、マクレイン。拗ねてないでお隣に来ない?」


 ポンポンと、私の隣の椅子に据わる様に進めます。


「はい………失礼します」

「元気ないわね。どうしたの?リズ抱っこする?」

「………リズ!あ、はい!リズ抱っこします」


 おや、少し御機嫌上昇したかしら?

 なら、チビッ子達を呼びましょうか。


(ルト~戻って来て!皆でおいで……おやつよ~)


 すると庭の垣根の中から、チビ達が顔を出して戻ってくる。


《なに、おやつ!》

《おやつ!なに?》

(フフフ。少しだけまっててね?)

「にゃ!」

「………」


「おいで!ほらナッツと果物よ」

「リズは、小魚かな?」

「にゃ!にゃにゃにや~ん」


 リズが泣いて小魚を加えると、また垣根に向かって行ってしまった……。

 あ!リズなんでいなくなるの?君が居ないと始まらないのに……。


「お姉様。リズが、どこかへ行っちゃったではないですか………」


 あら?私の所為なの?


「そ、そうねぇ~何処に行ったのかしら?ルクス、ルト何か知ってるの?カイは…」


 チビッ子に訳を聞こうと聞きますが……知らないと言うだけですわ!なんだがおかしいわね?


「マクレイン!私と一緒にあの垣根に行くわよ!アレクお兄様!シュバルツをお願いします!」

「お、おう!」


 抱いていたシュバルツを、アレクに渡してマクレインと一緒に、リズが潜っていった垣根を目指します。

 その後ろでは、ルクスが行っちゃ駄目だといいます。これは………隠し事をしている証拠ですわ!

 ですが、あの垣根あんなに枝延びてたのねぇ~。

 ……庭師さん、サボってるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る