第2話 パトリシア、オコです!

 なんだか……ベルガモット家だけが公国立ち上げると、宣言して小さな国なる予定で動いていた筈なのですが。何故か大きく事が進んでいる様で………。

 戸惑いが隠せませんわね。


「ここにいたのか、シア?」

「あら、アレクお兄様。ごきげんよう、どうかされましたの?」

「あぁ、少しな?」


 なんだか歯切れが悪いわね、どうされましたの?


「シア、あのな?アイザックの件だが……」

「はっ?アイザックですの、それが?」

「そろそろ、許しやってはくれないか」

「えっ、何故?お兄様がお許しになっているのなら、私には関係がありませんわ」

「………(あぁ~我が妹は、まだご立腹の様だ)アイザックにも考えがあったのだ……。だから、そろそろ許してやってくれよ?」

「嫌ですわよ?私を、私の使用人達を蔑ろにしたのですから。マルスとアイザック、特にクレオは許しませんわよ?」


 何の考えだか知らないわよ!


「だが………もうあれから3ヶ月だぞ?そろそろ許して……」

「たかが3月給金カットぐらいで?オホホホ情けないわ!ふん!」


 貯金位は有るだろうし、衣食住は揃って何が困るのかしら?フン!

 頬を膨らませてアレクから顔を背ける。


「それもだが……、マジックバックの没収がね。私も困っているのだが……?」


 以前クレマンド殿下が連れてきた、マルセルという執事が。グレンと、私の身の回りの仕事をしている使用人達数人が、マルセルからの嫌がらせを受けているとグレンから相談があり。

 お父様に御相談したところ……家宰執事のクレオ、お兄様達の執事マルスにアイザックがグレン達が困って居るのを、見て見ぬ振りをしたのを知り私が激怒して、お灸を据えている最中なのです。

 当然お父様にも、ご許可を頂いてるのでお父様は困ってはない筈ですわ!多分ね。


「だがなぁ……シア。お母上も困っているよ?私もヴァンス兄上もね?」

「だから、知りませんわよ?元々無かったのですから、……その暮らしに戻るのも良いのでは?フフフ」

「そうは、言ってもな……」

「困ってるのですか?鞄ごときで?」

「ごときと言うがな……皆困ってるぞ!」

「なんで、です?どうして困ってるのか、お教え頂いても?この屋敷で、唯一鞄を持ってるのは料理長とグレンですが。他の者からは、とっくにお返し頂いてますし。長々とお貸ししていたのを、回収して何が悪いの?」

「………そうだが……」

「私、された事には、倍返しするのですわよ?フフフ!」

「シア!冷気を出すな!寒いから。悪かったよ!な?だから機嫌を直してくれないか?」

「えっ、私がですの?私の機嫌はいいですわよ?ねぇ、グレン」

「ええ、特にお変わりもせずに。御機嫌では?」

「ほら、グレンもそう言ってますわよ?」

「…………まったく!お前は、昔から頑固なのだから……。なら、私に貸してはくれないか?」

「あら、何にお使いですの、必要ないですわよね?」


 そんなやり取りをしていたら、中庭から小さな従兄弟が現れた。

 また……子守りかしら?

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