第32話 覚悟の確認 2

 痴話喧嘩を眺めているなら暇をと、言って席を立とうすると止められましたわ。


「い、嫌。まだ話しは終わってないよ?マルセル!口を出すなよ?」

「くっ!ですが……」

「黙れ!」

「承知致しました…………」


 私を睨むな!無能執事!睨んでも怖くもないわね?フン!


「それで、なんですの?」

「狩りの話しだが……ね?狩りで得た魔物を売りたい。そしてこの領地で暮らしたいと思ってね?」

「はあ?あの…失礼なのですが……。ご自分の国に、お帰りに成られた方が宜しいのでは?」

「それは?私にはチャンスがないのかな?」

「その話しは……………グレン外に出てて頂戴」


 ちょっと待って!

 この話しは……マルセルに聞かせるのはなんとなく嫌だわ。


「はぁ?ですが……お嬢様!」

「大丈夫よ?殿下の執事さんにも、出て貰うから。殿下、申し訳ございませんが?人払いを」

「承知した。マルセル外に出てろ!」

「で、ですが」

「良いから出ろ!」

「畏まりました」


 ギロリと、また私を一睨みしてから、グレンとマルセル二人が、部屋から出ていくと扉が閉まる。

 ………ごめんねグレン後でちゃんと話をします。

 そして遮音の魔法を部屋に掛ける。


「遮音!」

「パ、パトリシア?いまのは?」

「え?あぁ、遮音の魔法ですわ?グレン、私の執事には話を聞かれても、知って要るので聞かれても構わないのですが。貴方の執事に聞かれるのは気分が悪いので、音を漏れないようにしましたわ?」


 …おや?……なにか問題でも、


「す、すまない。マルセルは……少し考えが固くてね?」

「固いで、すませないでくださいませ?先程の執事の態度や、失言を見聞きしたのが私ではなく。ヴァンスお兄様達や、お父様に聞かれでもしたら。殿下達は、明日にでも有無を言わさずに、この領地を出されますわよ?」


 軽く考えてるのが怖いわ!どれだけ甘いのかしら?本当に王子なの?帝王学は学んだでしょ。

 学ぶジャンルが違うのかしら?

 あ!質の問題かしら?主の立場を悪くする使用人ってなんなのかしらね。

 何でこう、この人が連れてくる使用人は質が悪いのかしら?


「そ、それは……私の考えが甘かった。すまない」

「そうですわ!何故あんな方を連れて来られたの?私の使用人達が、あの方のせいで困ってますのよ?」

「………申し訳ない。あいつは……」

「殿下の執事なのでしょうから?優秀なのでしょう?ですが……それを押し通されても、困ると良く言い聞かせてくださいね?それじゃないと本当に、あの方は出しますわよ?」

「わ、分かったよ。言い聞かせる。それにしてもパトリシアは、物怖じしないのだね?そこら辺のご令嬢なら、あんな場面では話しも出来ずに泣くだけなのでは?」

「さぁ?私はある事情があって、友人は少なかったですし。友人も芯が強い方なので……、その辺りの事は存じませんわ?」

「そ、それはすまんね?だが貴族なら、お茶会や社交パーティー等はあったろ?」

「ありましたが……」

「なんだい?なんだか言いにくそうだね?」

「ええ……余り気持ちの良い話ではありませんのよ?」


 思い出しただけでも気分が悪くなる。


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