第29話 爆弾投下

「ご、ごきげんよう?クレマンド殿下?いかがされましたの?」ニコリと笑って誤魔化す。

「ハァ~。パトリシア……君は。(その笑顔は反則だ!)」

「これはこれは、穀潰しのクレマンド殿下では?貴方のお食事は、メイドに運ばせましたよ?おかしいですね?届きませんでしたか?」


 おや?と不思議そうにアレクがニヤついて殿下に話しかけます。

 あ~これは不味いわね……ヴ、ヴァンスお兄様!ヘルプですわよ?子供も居るのよ?考えてね!


「これはアレク殿?嫌!お義兄様でしたか?」

「つ!貴方にそんな言われ方をされるのは侵害ですね?殿下?」


 すると隣に座る、マクレインが私の腕を引いてこれまた爆弾投下です。


「ねえ、お姉様?」

「な、何かしらマクレイン君?」

「お姉様は、ボクの婚約者ですよね?」

「は?な、なにを言ってるのかな?」


 その言葉を聞いた、クレマンド殿下とアレクお兄様……ウザイ!

 子供の戯言に、いちいち反応しないで下さいませんかね?


「「はぁ?」」

「な、パトリシア!君はそんな幼い子の……」

「シア、お前従兄を誑かすなよ?良い年なんだから!」

「は?アレクお兄様?今なんとも仰ったのかしら?返答次第で、私も考え方を変えますわよ?後!クレマンド殿下!ゴタゴタ揉めるなら、貴方はさっさと国に帰れ!」


 ふん!気分が悪い!

 楽しいお食事だったのに………!


 怒りにかまけて怒鳴ったら、庭に居た人全員が固まった!あ……やらかしてるわね?

 どうしましょう………。


 困って居ると、隣に座って大人しく食事をしていたジョシュアが泣き出した。何故?


「う、うわぁ~んおねさまがおこったぁ~!」

「あ、あら?ご免なさいね?ジョシュア?ほら泣かないで?ね?」

「ヒック、だってぇ~ぇ~!おこったぁ~」

「ほ、ほら、抱っこしようか?ね?ジョシュアに怒ってないわよ?ね?ほら……お顔拭いて!お、叔母様助けてださい!笑ってないで!」


 叔母様に助けを求めると笑ってる……し?


「抱っこぉ~!」


 そして泣くジョシュアが、両手を開いて抱っことねだって来るので、仕方なくジョシュアを抱き上げる。


「ほら?抱っこしたでしょ?泣かないで?ほらお母様のところに戻る?」

「嫌!抱っこ!」


 ガッチリ首に腕を回されて離れない……。

 子供の力って……意外に強い!


「あらあら、ジョシュアが赤ちゃん返りしてるわねぇ~?ほらおいで?」

「おかあさま……嫌!」


 そのやり取りを見ていた、周りがクスクスと笑いだす。


「パトリシア?諦めなさいな?子供はしつこいのよ?そうなると……」

「お母様!助けて!」

「知らないわよ?フフフ」

「んも~叔母様にお母様も助けて下さい!」

「フフフ。駄目よ?ジョシュアの気が収まるまではそうしててね?」

「そのうち飽きるわよ?マクレインもいるわよ?」

「え?マクレイン君?」

「ずるい………」

「え?」

「ずるい!です!僕も抱っこ!ジョシュア離れろ!」

「い、いや……君はお兄ちゃんでしょ?」

「お兄ちゃん?いや!」


 お願い2人乗りとも離れて……。

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