第22話 親バカ二人

 それなら信用するしないな?

 パトリシアも何も言っては居なかったしな。


「なら、ハンス!頼むぞ?それにパトリシアがこの領地にもたらした物は、馬車だけではないしな?この領地の食事の種類と味は、他の領地とは比べられないだろ?」

「ええ、全く違うので他の領地の視察や、他貴族のパーティーに呼ばれても、食事に手を付けるのが無理な時がありますね……」


 慣れとは実に怖いですねぇ~。


「そうだろ?あれは、パトリシアが料理屋長を捕まえて、色々指導した結果だぞ。他の料理人がこの領地に、広げたいと言ってきたので。この領地限定と言うことで、私が許可を出した結果だ」

「……だから他に出てないと?」

「ああ、徹底させたからね」

「ハハハ。子供が優秀なのも、考えものですかね?兄上」

「ああ、全くだよ。挙げ句に実の、祖父母から命を狙わはるなんて!」


 感謝をしても良いくらいの事を、パトリシアはこの領地にもたらしてるのに……。

 なぜその事があの老いぼれには分からないのか?


「本音はあの人達に、直接伺いますか?まぁ聞いても、話には成らないと思いますがね?」

「そうだな。それでは本題だ!ハンス」

「あの人達をどうするのか、ですか?」

「ああ…先程聞いた、その50人は捕らえたのか?」

「あぁ、それなら今頃…兵士達が捕り物してますよ?」


 44人嫌、50人かパトリシアが既に調べたのだろう。

 だったら確実だな、牢に入れて見せ物として引き摺りながら、あちらの屋敷へ連れていくだけだ。

 損害金は支払ってごっそり貰うがね?

 ふん、老後の蓄えをごっそり奪ってやる!

 胸糞悪い!私の城に碌でもない真似をしおって!


「それなら連れて行くかい、兄上?」

「そうだな……明後日辺りに、荷馬車に檻でも付けて、町中引いてから向かうか?ハハハ!」


 それは良い見世物ですが……。

 治安の良いこの領地で、行っても良いのか?少し迷うところが有りますねぇ~。


「後は、冒険者ギルドのギルマスですか?」

「ああ、呼び出してしっかりと話しを聞かせて貰うが……。それは後だ!先ずは親が先だ、あとはパトリシアに門の結界を強化て貰う」


 パトリシアを、馬鹿にしゃがって!

私のかわいい娘を!俺を見くびるなよクソ!

 明後日きっちりさせる!


「それなら兄上?国境の門も、この際です強化しませんか?」

「なら魔石を要するな?パトリシアなら分かるはずだな……」


 はぁ~パトリシアばかりに、頼って居る気がするが……。

 いっその事パトリシアを、女王にでも担ぎ…。

 駄目だなそれは、せん無き事だ……あれが嫌がる。


「パトリシアですか?」

「ああ、我が娘は狩りが好きでな。今は従魔を連れてるだろう?あれも狩りの途中で、見付けたらしいぞ?全く2匹連れて来た時には驚いたぞ。ハハハ!」

「眷属が2匹……兄上!パトリシアですが……。また、眷属を増やしてましたよ?それも2匹程」


 フフフ、とても可愛い眷属でしたねぇ~。

 あれは……欲しいですねぇ~特に、マクレインが懐いてましたから。


「は?追加だと!」

「ええ、かわいい子猫と栗鼠でしたね。マクレインが、子猫を気に入ってしまいましてね?」


 マクレインは、随分パトリシアに懐いたものだ。


「あやつはまた………は!アレクには?」

「アレクは、未だ知りませんね。多分隠してるのでは?ハハハ!それと今日の晩餐は、中庭でピザパーティーですよ?」

「は?中庭でピザか?」

「はぁまた、パトリシアか……」

「いや?私の案ですよ?マクレインが喜んで居りました」

「お前………息子馬鹿なのか?」

「失礼ですねぇ……。兄上こそ、娘バカでは?」

「「…………」」

「さ、さて兄上……そろそろ中庭に向かいましょう。明後日の話は、取り敢えずまた明日に?」

「ああ……向かうか」

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