第8章

第1話 また、問題なのかしら?

 そう言えば………畑ってどうしたかしら?

 人を雇い入れて、説明をしてから見に行ってないわね?


「グレン?」

「なんで……御座いますか?」


 なにその返事の仕方は?


「畑に行くわよ?」

「はっ? 畑にですかなんのご用ですか」

「良いから、行くわよ」


 ルトとルクスを影に入れるが……果たして、新しくテイムした子達は、影に入るのかしら?

 試しに触って影に入れて見る?


 カイ?リズ影に入れる?と、二匹に問いかけて頭を触ったら………シュッと影に入ってくれた。


「う……嘘………入ってくれたわ!」


 これで暫くは、お父様達にはバレないかしらね?フフフ。


「あ、お嬢様?先程から気には成ってましたが……。また、動物が増えましたか?」

「え!あぁ、ふ、増えたわね……。後で紹介するわよ!今は畑よ!は・た・け!行くわよ!」

 

 そして、グレンと連れ立って畑に向かう途中で珍しい事に、アレクお兄様様とバッタリ。

 チッ……間が悪いですねぇ。

 ここシカトです……とは行かないのでちゃんとお声を掛けますわよ。


「あら?アレクお兄様。どちらに行かれるの?」

「シア………か?」

「あら?私と話すのは……不満そうですわね?其でしたら失礼しますわね?」

「……………」

「グレン、いくわよ?」

「お、お嬢様?ですが?」

「いいのよ……」


 それだけ言うと、グレンを連れてまた歩きだす。


「パトリシアお嬢様?」

「何かしら?」

「宜しいのですか?」

「大丈夫よ?お兄様ですもの、そのうちご機嫌も直るわよ………(多分ね?)」


 グレンと二人で、畑に隣接する温室に立ち寄ると温室の中で作業する人影があるが……。

 なんだか、庭師のベンが人に取り囲まれているわね?なぜかしら?


「ごきげんよう?ベン。どうしたの?何かあったのかしら」

「こ、これはお嬢様!いえ、何も………何かご用でしたか?」

「大した用は無いのだけれど………ベン?どうしたのかしら?温室の苺の苗が枯れてるわよ?」


 回りを見渡すと、そろそろ食べ頃の筈の苺の苗が……見事に枯れていた。

 はぁ~~何これ……?


「は、はい………申し訳御座いません。折角お嬢様から苗を頂いて、大切に手入れをしてきたのですが………」


 ベンが申し訳なさそうに謝るけれど……?

 何故かしら?ベンの回りの使用人は、私に何故挨拶しないのかしら?


「ベン?ベンの回りに居る人達は?何方かしら?関係が無いなら出て貰った方が良わよ?(知ってるけど、知らない振り)」


 すると、ベンを取り囲んでいた一人が私の前に出て来て、私を睨み付け暴言を吐いてきた。

 おお!チャレンジャーですね?


「誰だ、あんたは?俺達はここの使用人だ!こんなくそ暑い場所で、訳の分からない物の世話をさせられて、苗を枯らしたぐらいで文句言われる筋合いはねぇ!とベンに言ってたんだよ!」


 新しく採用された者達とは一度、顔合わせをしたわよね?

 何故私の事を知らないと、言い切るかな?

 私はわざと知らないとは言ったけど……。(笑)


「お前達、お嬢様に失礼だぞ!この方はベルガモット家のパトリシアお嬢様ですよ!立場を弁えなさい!」


 グレンが怒鳴るけれど……、全く文句を言う使用人達には響いてないわね?


「お、お嬢様??だからなんだ?偉そうに!」


 な、なんて……雑で、乱暴な……。

 良く、あの門を通れたわね?

 ……欠陥魔石だったのかしら??




 なら、鑑定……。

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