第31話 ルクスとルトの希望を……棚上げに

 これですわよと、言って懐中時計を取り出して殿下に見せる。


「ないね?なんだい?それは?」

「えっと……時計と、言いまして……時を刻むのですわ。そして、時を確認できるのです。あの太陽で時刻を、見るのと一緒の物ですわ」

「ほう……時刻を見れるのかい?」

「ええ、ご覧になりますか?」


 と、言って時計を殿下に手渡す。


 手渡された時計を、殿下はマジマジと見る。


「ほぉ~これは……細工も綺麗な……おや?針が一本のだけ早く動くのですね?これで時を刻むのかい?」

「ええ、そうですわ。時間は今は12時15分ですわね」

「ほう………正確に時がわかるのだねぇ?パトリシアこれは?何処で?」

「え!これは私の手…………」


 あっヤバいわ!つい、言いそうになってしまったわ。


「え?パトリシアのなんだい?」

「い、いえ、なんでもないですわ?あぁ、そう!何方かのプレゼントだったかしら?忘れて仕舞ったわ。ホホホ!さ、さぁ、お腹すいたののよね?屋敷に戻るわよ!」


《《わ~い!》なら妹は連れて来ていいの?》


 あ!そうだったわ………。


「パトリシア?何か、はぐらかしてるよね?」


 これはもう面倒過ぎるわ!仕方ない!屋敷へ戻る!


「ルト、ルクス、その子達連れてこっちにおいで?殿下もここに!」

「え?何をするのだい?」


「いいから!こちらへ!」


 殿下に圧を掛けて黙らせる。


「は、はい!」


 側に引き寄せて(テレポート)を使って元に居たテラスに戻る。


「はい!到着。あぁ、お腹すいたわ!ルトルクス。その子達のことはあとでね?」

《《う、うん》………どこ?ここ……僕?どこにいるの?ご主人?》

「パトリシア?これは?なんで一瞬でテラスに戻れるんだい?」

「後で、お話ししませんか?あぁ、お腹すいたわ!グレン?グレンいるかしら?」


「…………な、何が起こったんだ………」


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