閑話 叔父と祖父 3

「あぁ、そうそう、忘れてました。父上、兄上からの伝言です。どの面下げてそんな事を言うのだ!おととい来やがれ! ……だそうですよ?ハハハ」


 すると父が顔を赤くして怒り始める。


「お、おのれ!アデスめぇーー!育てた恩を忘れおってからに」


 自分が先に、訳の分からない難癖をつけといて何をそんなに怒るのだろうか……?

 全く老いとはなんと恐ろしい。あんなボケ方はしたくないものだ。


「父上?育てて頂いた恩などは、もうとっくに返してませんかね、兄上は? さて、伝言は伝えましたよ?では、私は部屋に戻ります。ポール戻るぞ!」

「畏まりました。旦那様、お夕食は如何致しますか?」

「そうだな、父上達とは時間をずらしてくれ、そう言えば……子供達は?どうした?」

「マクレイン様とジョシュア様達でしたらお部屋ですが?」

「なら、先に父上達の食事を。それから私達でいいよ?子供達にも伝えてくれ」

「畏まりました。それではそのように」


 失礼しますとポールがその場を離れる。


 ふぅ~まったく厄介だな………。

 兄上と、此れからどうするか相談か………。

 考えながら、ハンスが自室に戻ると妻のグレースが迎えた。


「貴方お帰りなさい。アデスお兄様達はお元気でしたの?」


 心配そうにハンスに聞く。


「あぁ、多分な」

「多分ですの?」

「ああ、兄上には挨拶をしてきたがな……義姉さん達には会えなかったよ……」

「あら?それは残念でしたわね?」

「まぁ、またそのうち挨拶できるだろうよ?」

「そう………でしたらその時には子供達と一緒にね?」

「ああ、そうだな?それに少し相談もあるのだ」

「相談ですの?」


 何かしらと尋ねられる。


「兄上に相談してからなのだが………この、屋敷を出ようと思ってな?」

「………ですが私達は?何処に住むのですか?」

「まぁ考えてるよ………」

「近い内に、子供達と一緒に兄上たちの所へ行こうか?」

「分かりましたわ、貴方の好きなさって。私は貴方にお任せするわ。ですが子供達の事を、ちゃんと考えてくださいね?」

「分かっているよ?さて、そろそろ夕食の時間かな?今後、父上達とは食事の時間はずらす。少し不便だが了解してくれ」


 この日から父上達とは疎遠になった。



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