閑話 叔父と祖父 2
「……無礼……かどうかは、分かりませんが。……あの城は、アデス兄上達の物ですよ。何せあの城を一から作り上げたのは、パトリシアなのですから……」
「………だが、この領地は私の物だ!土地が欲しければ金を払えばいい!」
情けない、実の息子に土地を買えと言う親が何処に居るのか……。
「……………まったく、なんと情けない!」
「は……今なんと言った?」
「情けないと言ったのですよ、父上。そもそもあの土地は、遊ばせていた土地で荒れ放題だった筈ずだ。私でもあの土地の事を、忘れて居たくらいの土地だぞ。そんな荒れた土地を整備して、建物を建てても何の問題もないのでは?」
「そんな事は、儂の知った事ではない!勝手に整地して城を建てたのだからな。気味の悪い娘でも役には立つ!私の領地に入れてやっただけでも、ありがたいと感謝して欲しいくらいだ!」
これが私の親………。
「まったく………これが私の親ですか。厚かましいものですね?建物が立った途端に、自分の物と言い出す。まるで盗人だ!盗人猛々しいとはこの事ですね?父上!」
まったく持って、愚かである。
「う、煩い!儂の土地に建物が立ったのだぞ!儂の物だろ?」
「では、パトリシアに言ってあの建物は壊すように伝えてきますよ?そして、この、屋敷に戻って貰いますか?」
すると、父は興奮して本音を漏らし始める。
「パトリシア!またパトリシアだ!あの気味の悪い娘だ。何故、みなあの気味の悪い娘を庇うのだ?娘など、戻ってこられでも一緒に暮らせぬよ!」
「そうよ!しかもあの娘。どこからか化け物を出して来たのよ、なんて気味の悪い!」
「では、伺いますが……あの娘のお蔭で、我々の領地の治安が良くなったのは?馬車が乗りやすくなったのは?食べ物が豊かになったのは?そのお陰で、私達が苦労もなく暮らせて居るのは。全てあの娘が言い出して、実行したのは兄上と私で動いたからでは?」
あんた達は、反対しただけ何もしていなかっだろうが!声を荒げて両親二人に怒鳴り付ける。
「そ、それは……」
「その、恩恵を受けているのに?パトリシアを嫌うのは何故?気味が悪いと仰るなら。お二人はこの領地から一度お出に成られて、あの不便で成らない王都に移られてはどうですか?」
「ハンス、貴方は私達を、追い出すの?」
「ええ、それも良いかと思いましてね?此れから兄弟で足並みを揃えて、色々と仕事しないとならないのでね?貴女方に足を引っ張られても、困りますからね。隠居なされた今でもまだ……訳の分からない事を言って、我が儘を言いわれても迷惑だ!と言っているだけですよ?」
要は、大人しくしていて下さいよ!と言ってるだけです。
「そ、そんな酷いことをハンス!貴方は親に言うのね!これもあの娘パトリシアが、何かしたのかしら?ねぇ~貴方やはり、あの娘………パトリシアは、気味が悪いわ!」
「そうだな……あやつが居なければ、ハンスもこんな事を言う息子ではない筈!あやつは悪魔か!やはりあの時に、殺しておけばよかったのだ!」
あの時?あの時………はて?何かあったのか?
これは、兄上に聞かないと分からない話だな……。
一体この親はあの姪に何をしたのだろうか……。
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