第19話 温室と畑

 全くお兄様は、仕方ありませんわね……。


「お兄様……では、温室へ行きますか?」


 そう言って、立ち上がりチビッ子達を呼び戻します。


「お、おお、突然何だ!びっくりするだろ?」

「突然では、ないですよ?ルト、ルクス!」


 先程から、温室に向かうと言ってますもの!


《《なに?》およびですか》

(温室に行くわよ?戻ってきて?)

《今行くよ~》《行きます!》


 ルトが返事をしたかと思えば、ルクスがルトを背中に乗せて戻ってきた。


《あるじ?戻ったよ?》

《ごしゅじん、戻りました!》

「はい!二人とも良い子ね?なら行きましょうか?お兄様は本当に、どうしますの?」


 行くの行かないの?どっちかしらね!


「チビ達もいくんだろ?」

「当たり前ですが、なにか?」

「なら行くだろ!ルトおいで!」


 ………ですよねぇ~?

 呼ばれたルトは、躊躇いもなくアレクお兄様の肩に乗ります。


「はぁ~そうですか。ヴァンスお兄様は?」

「え?あぁ、私は?また、戻るよ。パトリシア行っておいで」

「フフフ、お兄様。ありがとうございます。では、行きますわね?あ!そうでした、ヴァンスお兄様?」

「なんだい?パトリシア?」

「大した事では、ないのですが……。あのお爺さん達から……なにか言って来られても、取り合わない様にした方が良さそうですわ?」

「え!なんだい?いきなり」

「ま、まぁ?そんな予感がしたものですから……では、お兄様頑張ってくださいませ?」


 何となくの、嫌な予感ですが……気にしないでおきますわ。


「ありがとう、また後でな?」

「はい!ヴァンスお兄様!では、アレクお兄様、ルクス、ルト行くわよ?」


 そして、二人と二匹で温室に向かう。


「それにしても……シア?」

「なんです?」

「この、庭は………」


 温室に行くのには、中庭を突っ切ると近いので庭を歩いてますが。ちゃんと区切って、庭木を植えています。なので、花壇の花と庭木が季節で合わさると、綺麗な場所があります。

 今も、そんな綺麗な場所を歩いてます。


「綺麗でしょう?四季があるので季節毎に花が咲きますわよ?」

「そうなのか?」

「ええ、ですが………今の庭番では、手が回りませんわね?」

「だろうな、それに畑に?温室……か?なぁシア、畑は何を育てるのかな?」

「そうですね?何を作るか迷ってますわ。料理長と相談して作っても、面白いかも知れませんわね?あ!それと町の中心部にカフェを作っても良いですわね?そこで何が売れるか試しても良いですわね?」

「カフェ?何だそれは?」

「えっと、食事をする場所ですわよ?お兄様だって知ってるでしょ?」


 そんな話を歩いてしてると温室につく。


《あるじ?ここで何をするの?》

「ここはね?ルト達が食べれる実が生る木を植えるのよ?温室の他にも外に植えてあるのよ?」

「ここは、何を植えるのだい?シア?」

「そうですね……さくらんぼと、桃にビワなんてどうかしら?2棟あるから1棟ずつですけど……」


 外はリンゴに、みかんに、梨にあ!葡萄も良いわね?葡萄酒が出来るし、リンゴもお酒になるわ!


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