第5話 これからの話………?に成るのかしら?

「アレク、いい加減にしろよ!パトリシアを降ろせ。パトリシア!こっちに戻っておいで?ほら!」


 ヴァンスお兄様が、ソファーをポンポンと叩いて招くのだけれど………。アレクお兄様が私を抱き抱えて降ろしてくれません。

 要は、お姫様抱っこですが………。

 こんなことは、身内にしていただいても嬉しくはありません。

 私の希望は……………。恥ずかしいので内緒ですわ!


「アレクお兄様?降ろして下さいませ?」


 そう言うと、やっとアレクお兄様が眉間に皺を寄せて私を床に降ろしてくれました。


「仕方ない!だが……シアは、私の隣に座われ!」


 はぁ?またですか、シスコンも程々にしませんとお嫁さん来ないですわよ?


「アレク!お前!ずっとパトリシアと一緒の馬車だったではないか!」

「それが何か?兄上は父上の指示を無視しろとでも?」

「そ、そんな事は言ってない!」


 そんな事を、兄弟で言い争って居ると遂にお母様が切れました。


「貴方達!お祖父様達の前ですよ!おとなしくなさい。パトリシア!貴女はここにいらっしゃい!」

「そうだぞお前達、いい加減にしないか!」

「父上、申し訳ありません」

「私も、すみませんでした。大人げなかったですね」


 私は、ヴァンスお兄様に髪を乱されたので元に戻しながら、大人しくお母様の隣に座ります。


「さぁ、落ち着いた所で、先ずは?アデス!あの王子は、どうしたんだ?」

「旅の途中で、魔物に襲われていたので助けたのですが………馬車が壊れ修理出来ないのと、馬の調達も難しかったので、仕方なく連れて来ましたよ」

「なら、早いとこ馬車を修理させて領地から出て貰おう?見たところ、随分と容姿が良いぞ!トラブルに成りそうだ!しかも他国の王子とは、運が良いのか?悪いのか………なぁ?アデスよ?」


 そう言うと、お祖父様がジロリとお父様を睨みます。


「父上………。申し訳ありません。ですが………あの状況で、あの者達を置き去りにも出来ないと思ったのですよ………。ですが、別段トラブルもなく来ましたから、特別に警戒しなくてもよいのでは?」


 見殺しにも出来なかったし。少し、しつこい所はあるれど………楽しい方よね?あのクレマンド殿下って。

 そう、邪険にしなくても良いと思うのだけれど………どうなのかしらね?


「まぁいい。お客人には、早々に領から出ていって貰うとして!他に、報告があるだろう?パトリシア?」


 お祖父様が私の名を呼びますが………?

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