第76話 領地へ・・・足留め

 殿下に続いて、私も食事を始めるけれど………、料理が冷めてしまっていて美味しくない!でも勿体ないから、食べてしまいましょう。


「さて、殿下シアが言いたかった言葉を、言いましょうか?」


 アレクが、クレマンドが食事を食べ進めていた所で声を掛ける。


「なんだいアレク殿?」

「料理長が持って来た、食事を残されるのは相手に失礼だろう?と言いたいのだが、御理解出来ますか?」

「……それは理解が出来るが?(それが、なんだと言うのだ?)」

「それは良かったですよ?食糧がまだ持つとはいえ。ここでまた足留めが続けば、その分食糧が少なく成るのでね、残して捨てるのは、勿体ないですから(ここは王宮と違うのが分からないのか?)」


 まさに言えてますわね?それでなくても食糧を補充出来ずに進んできてるのだもの。お肉だけあっても持たないわ!要は残されても困ると言う事ですわ。でも単にお兄様が、大食い魔神と言う事でもあるのよね?フフフ。


「そ、それは、私の考えが甘かったですね。こちらで、お世話に成っているのを忘れてましたよ。重ねて申し訳ない。(しまった、ここは敵陣だった。しかも、食と住を提供して貰っていて、私はまだ何の礼出来ていない。それにしても、この一家に………どんな礼をすれば良いのだろう?)」


「お兄様、殿下に少し厳しいですわよ?」


 少食の殿下には、二食分は無理だと思ってお話ししただけなのに。逆に、責めることに成ってしまったわね?

 ごめんなさいね?殿下。


「そうか、シア?だが殿下に気づいて頂ければ、こちらは何もいわんよ?」


 すると、随分と遅れてアイザックがアレクの食事とルト達の食事を持って、此方に向かってきた。


「失礼します。アレク様遅くなりました。朝食をお持ち致しました。遅くなり申し訳ございません。あと、パトリシアお嬢様、ルクス達のお食事もあ持ち致しました」

「ああ、ありがとう」

「アイザック、ありがとう」

「い、いえ。それでは私は失礼します」


 アイザックが、アレクとルクス達の目の前に料理を置いて下がっていく。


「すまんね?二人食べ終わっているのに。シア、少し食べるかい?」

「いいえ?私に気にせず食べてください?冷めて仕舞いますわよ?」

「ええ、お気になさらず。食べて下さい」

「ん?ああ!なら、頂きます」


 そう言って。お兄様が食事を始めたので私と殿下が手持ち無沙汰に成ってしまいました。


 案外気まずいですわね?

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